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2010年02月01日 配信
サンダンス映画祭グランプリ、人々を突き動かす痛烈で優しい母親の物語(90点)
今日、母親が我が子に危害を加えたり、殺害したりという悲しいニュースを聞く事がある。それでもやはり体を痛めて産んだ子供へ対する母親の愛情というものは世界中どこへ行っても計り知れない程深いものだ。母の愛は優しくそして強い。そしてここに生活していくのが困難な状況下で、我が子に愛を惜しまない母親の物語が誕生した。女性監督コートニー・ハントの初長編映画作品『フローズン・リバー』は言葉を失う程痛くそして優しい物語だ。
クリスマス間近、ニューヨーク州、カナダとの国境付近に暮らす2人の息子を持つ母レイ・エディは夫に逃げられ、経済的に困難な状況に陥っている。金はないが、子供もおり、生活していかなくてはいけない時にモホーク族の女性ライラに出会う。彼女はカナダから車で凍った川を渡り、中国人やパキスタン人をアメリカに密入国させる金になる闇の仕事を手伝っており、レイも日々の生活のためにライラと一緒にそれを手伝い始めるが…。
アメリカは広大で、貧困の差も激しく、格差社会が手に取る様に分かる国だ。『フローズン・リバー』で取り上げられているアメリカ合衆国とカナダの国境での密入国事情はほんとうに行われており、生活のためにそれを手伝う母親達も実在する。これは監督コートニー・ハントの同名短編映画に基づく真実の物語。そして本作は2008年のサンダンス映画祭でドラマ部門のグランプリを獲得している。