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2010年01月26日 配信
これまでの海洋ドキュメンタリーとは一線を画す(75点)
海に住む生き物たちの行動にカメラが迫ることの難しさは想像に難くないが、本作「オーシャンズ」は、生き物たちのありのままの生活ぶり、その決定的瞬間を「CGではないのか?」と勘ぐりたくなるほどのタイミングと距離でカメラに収めている。海洋生物だけでなく、その映像演出の巧さ、美しさにも注目したい1本だ。
冗長なシーンがほとんどない。それもそのはず、この映画はすべてを偶然まかせに撮影したものではなく、ジャック・ペラン監督と世界観を共有する12人のカメラマンが、超最新のカメラを持ち、なおかつ綿密に練った計画に沿って撮影に挑んだものなのだ。ペラン監督は、海洋を専門とする科学者たちに、あらかじめお目当ての生き物の生息地や移動ルートを予測させ、それに伴う絵コンテを描き上げたうえで、はじめてカメラを海中に下ろした。ありのままの自然の姿を、偶然まかせではなく、"確実に"カメラに収めようとしたのである。
一貫した世界観に基づいて撮影されたリアルな映像は、シーンごとの映像クオリティにもばらつきがなく、まるで「ヨーイ、スタート!」のかけ声を受けて、役者である生き物たちが脚本に沿って動き出したかのような「おいしい」シーンを量産する。