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2010年01月21日 配信
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90年代の音楽業界を、愛情を込めて描いた佳作。映画初出演の赤西仁が軽薄だが憎めないロッカーを好演している(73点)
若い頃、誰でも音楽に夢中になった経験があるだろう。自分自身のそんな時代を思い出させてくれる作品だった。
90年代のバンドブームの中、女子高生アサコ(北乃きい)はふとしたきっかけでロックバンド「LANDS」のリーダー・ナツ(赤西仁)と知り合い、やがてバンドのマネージャーとして関わっていく。「LANDS」はヒットを飛ばし、チャートのトップに躍り出るが、アサコを巡るメンバー間の対立、音楽観の違いなどが次第に表面化していく。
手持ちカメラが人物を追う。カットを割らず、かなりの長回しが続く。ドキュメンタリーのような撮り方が、観客と登場人物たちとの間に、一定の距離を保つ。この距離感がとてもいい。今起こっていることをそのまま描いているのではなく、少し時代を置いてから当時を振り返る回想のような雰囲気を出していて、それが90年代の青春を描いた物語によく合っている。
主演がジャニーズのアイドルグループKAT-TUNの赤西仁と聞いて、タレントありきのスター映画かと思っていたが、そうではなかった。音楽への愛も、音楽業界の人々への愛も感じさせる佳作だと思う。