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2009年12月08日 配信
「別れ」のあとには何が来るのか?(85点)
3DCGアニメーションで知られるピクサー社は、いうまでもなくこの地球上で最強のアニメーションスタジオである。品質面でも、ビジネス面でも、ここ以上のアニメ映画を作れる会社はどこにも存在しない。とくに私が立派だと思うのは、この会社が15年にわたり「オリジナル」にこだわり続けてきたことだ。
既存のストーリーではなく、ゼロから生み出す。それで利益を上げ続ける。これこそ、創造そのものというべきアニメーション、さらに言えば映画作りの理想形ではないだろうか。
風船売りの老人カール(声:エドワード・アズナー)は、長年暮らした家をついに追い出される事に。亡き妻との思い出がこもったこの家、そしてその中のあらゆるものを捨てることが出来ないカールは、熟考の結果すべての風船を家に結びつけ、家ごと空へ旅にでる。
カールじいさんが向かう先は、若いころ妻と約束したある場所。これまで彼は仕事や日々の暮らしに追われ、結局妻を連れて行ってやることが出来なかったのだ。その約束を果たすため、老人はすべてを捨て(というか持って)冒険に出る。
本作はピクサーが初めて「飛び出す」立体映画にチャレンジした作品だが、正直なところメガネの立体効果を生かしているとは言いがたい。逆に暗いフィルターを通す分、鮮やかさをスポイルしているのではないかと思う。これなら無理して300円高い3D版を見るよりも、ベーシックな2D版でカラフルな風船の色を楽しんだほうがいいだろう。