新着映画情報
2009年11月23日 配信
広末涼子はミスキャストだが、犬童監督が見せる演出の「奇手」は素晴らしい(73点)
戦後64年が過ぎて、昭和も遠くなった。我々の年代なら僅かにリアリティを感じられるストーリーも、今の若い世代にどれだけ実感として伝わるのか疑問だ。松本清張の原作自体が、もはや時代遅れなのかも知れない。さらに、本作は犯人が途中で分かってしまい、推理ものとしての面白みは余りない。むしろ、犯人の動機に焦点が当てられる。それが社会派推理と言われる所以だ。動機がテーマだとすると、クライマックスは回想場面になりがちだ。映画としては構成が難しい。この難問に、犬童一心監督は驚くべき「奇手」で答える。それは実に鮮やかな手で、本作の面白さは全てそこにある。