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2009年11月16日 配信
中国人とイラン人とロシア人がアメリカで(70点)
『千年の祈り』は、アメリカの中で、中国人とイラン人が仲良くするというお話。いうまでもなく、前者は不況の米国がいまもっとも頼りにする経済大国。一方、後者のイランは軍産複合体による次期大規模公共事業の現場候補の筆頭である。
どちらも完全なる友好国とは言い難いが、アメリカにとって不可欠なパートナーであるわけで、そんな構図を持つ本作に私は強く興味を持った。
アメリカで離婚したばかりの娘(フェイ・ユー)を心配して、12年ぶりに北京から父親(ヘンリー・オー)がたずねてきた。だがアメリカ生活にすっかりなじみ、中華なべさえ持たぬ娘はもはや、父親とまったく心を通わすことはない。そんな状況を嘆きつつも、父親は日々散歩にでかけ、娘が暮らすこの国を知ろうとする。やがて彼は、隣人のイラン人女性(ヴィダ・ガレマニ)と知り合い、ほとんど通じぬ英語で交流を始めるが……。
根が陽気な中国人はどこにいってもすぐ友人を作ってしまうといわれるが、このお父さんも頑固ながら、どこか憎めないチャーミングさを持っている。英語が離せないくせにまるで臆する様子もなく、プールで日光浴する法医学を勉強中のビキニギャルやら自称・元CIAのおじさんといった個性的な隣人たちと積極的に話をする。彼らとの会話の内容はどこか唐突な話題ばかりだが、それもそのはず。その多くは、なんと演じる役者たちの実際の体験談ということだ。