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2009年11月16日 配信
作り手の高い技量を感じさせるコメディ(60点)
『なくもんか』は、タイトルから想像できるとおり最後にホロリと泣かせるコメディドラマであり、作り手、役者の高いテクニックを感じられる作品である。しかしながら、あるいは、だからこそというべきか、その手法は時にあざとさのようなものを強く感じさせる。大きく好みが分かれそうな作品といえるだろう。
祐太(阿部サダヲ)は、幼いころ父に捨てられたが、親切な「デリカの山ちゃん」店主一家にわが子のように愛され、幸せに育った。そのためか、彼は絶対に頼まれごとを断らず、どんな仕事でも、たとえ無償でも喜んで働いた。やがて商店街の名物となった祐太だが、彼には生き別れた弟といつか会いたいという長年の願いがあった。
この映画の手練れたつくりは、個人的には相当苦手な部類であるのだが、その上手さ、良さはもちろん理解できる。クドカン脚本らしい強引気味なギャグにノれる人であれば、気分良く楽しんで帰ってこれるだろう。泣かせるシーンの直後に笑いを入れるタイミングなど、完璧すぎてコメディのお手本のようだ。ようはそれを素直に笑えるかどうか、である。