ホーム ライブラリー コラム プレゼント トレイラー ショップ 掲示板 会社概要
  前のページに戻る

むらきむら さんプロフィール
映画が好き、映画より本が好き、本より音楽が好き。

高校、大学時代に大好きだったルースターズのボックス・セットに驚いている今日この頃。こんなの買えません。でも欲しいです(全部アナログの世代ですから)。

04/8/26の夜にぱっと浮かんだ好きなサウンドトラックBEST5
「ジャック・ジョンソン」
  マイルス・ディビス
「ラスト・タンゴ・イン・パリ」
  ガトー・バルビエリ
「コミットメンツ」
「アンダーグランド」
  ゴラン・ブレコヴィッチ
「ラスト・ワルツ」
  ザ・バンド
おまけ
サントラになるはずだったのに没になった
「チャパガ組曲」
  オーネット・コールマン


■過去記事一覧


写真01
「ソウル・オブ・マン/OST」

写真02
「クロスロード/OST」

写真02
「ビッグ・バッド・ラヴ/OST」

●“THE BLUSE Movie Project”公開でブルース・ブームがやってくるのだろうか。

 この夏の終わりから秋にかけて、ブルース・ブームが来るのだろうか。街中でがんがんとブルースが鳴り響くなんてことが来るのだろうか(ま、そんなことはないだろうなという確信はある)。そんな話題から始めるのも、この夏の終わりから秋にかけて、2003年にブルース生誕100年を記念して企画された“THE BLUSE Movie Project”の作品が相次いで公開されるからだ。“ブルース生誕100年”とは?と個人的には思っていたんだけど、これは“ブルースの父”といわれるW.C.ハンディ(1873〜1958)が書いた「メンフィス・ブルース」というブルースの曲が楽譜となり、初めて楽曲登録されてから100年ということであるらしい。それ以前にもブルースは存在していたが、それは楽曲登録されるどころか、楽譜にもなっていなかった。それをきちんとした形で提示したのがW.C.ハンディで、2003年がその節目となる100年だったわけだ(W.C.ハンディの曲を聴きたいなら、ルイ・アームストロングのアルバム「プレイズ・W.C.ハンディ」を聞いてね)。で、この“THE BLUSE Movie Project”、マーティン・スコセッシ、クリント・イーストウッド(残念ながら、彼の作品だけ劇場公開はない)、ヴィム・ヴェンダース、マイク・フィギスなどなど錚々たる面々が集結して、撮られた7作のブルース映画のドキュメンタリーなのである。その切り口は60年代のブリティッシュ・ロック・シーン、ピアノ、西アフリカ(そもそもブエナビスタはこの辺のミュージシャンとの共演がおしゃかになって出来上がった)、クラブからクラブへのツアーの日々など7作品ともヴァラエティーに富んでいる。これ以外も切り口は当然ある。この間口の広さが、ブルースの幅広さを表しているのではないだろうか。

●『クロスロード』という映画にまつわる話

 僕なんかがブルースの映画というと思い出すのが、ウォルター・ヒル監督による『クロスロード』という作品なんだけど、ここで大きなテーマとして描かれていたのが“クロスロードで悪魔と取引をして、最高のブルース(テクニック)を手に入れる”というブルースにまつわる伝説(これはロバート・ジョンソンという不世出の未だ謎に包まれた部分が多いブルースマンに関する伝説からきている)。映画自体は、とんでもない部分も結構あるんだけど、そこも含めてブルース、音楽が好きなら楽しめる作品となっている。で、このサウンドトラックを担当していたのが、『パリ、テキサス』、『ブエナビスタ・ソシアル・クラブ』のライ・クーダー。サウンドトラック盤にもクリームでも有名なもはやスタンダードともいうべきロバート・ジョンソンが残した名曲で映画のタイトルでもある「クロスロード」のライ版、J.B.ルノアーのカバー、ライ自身によるオリジナルなど最高のバックを従えて、ゴスペル色とファンキーさを前面に出したライ・クーダーらしい演奏を聴くことが出来る最高のアルバムのひとつである(この数年後に最強の布陣を従えて、来日したライ・クーダー。渋谷公会堂で観たあのライブは忘れられない)。

●『ソウル・オブ・マン』のサウンドトラック

 劇場で、テレビで全7作品が公開される“THE BLUSE Movie Project”。その中でも最も注目を浴び、とっつきやすい作品がヴィム・ヴェンダース監督による『ソウル・オブ・マン』だと思う。すべての作品を見たわけではないが、正直、どの作品も音楽に興味がなければ、面白みを味わえないのではないかと僕自身は思っている。深いのだ。その中でも『ソウル・オブ・マン』がとっつきやすいのには理由がある。それはこの作品で取り上げられるヴェンダース監督が敬愛するブルース・マン3人- ブラインド・ウィリー・ジョンソン、スキップ・ジェームス、J.B.ルノアー - の曲を今という時代に活躍するミュージシャンに独自の解釈で演奏させているからだ。ここにはヴェンダース監督自身のブルース・マンが残した素晴らしい遺産をより多くの層に聴いてもらいたい、ブルースという音楽は常に新鮮なものである(進化し、自由である)という意図をはっきりみることが出来る。映画の内容もそうなのだが、マニアに万歳させるだけの映画ではなく、映画、音楽ファンをブルースという底なし沼に誘い込もうという気持ちに満ち、それに成功しているのだ。

 参加しているミュージシャンは、ヴェンダース人脈とも言ってもいいだろうルー・リード、ニック・ケイヴ、T-ボーン・バーネット、ロス・ロボスをはじめ、カサンドラ・ウイルソン、マーク・リボー、イーグル・アイ・チェリーとヴァーノン・リードとジェームス・ブラッド・ウルマー、ベック、ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョン、ボニー・レイット、ルシンダ・ウィリアムス、アルヴィン・ヤングブラッド・ハート、シェメキア・コープランド、ジョン・メイオール、ガーランド・ジェフリーズ。もちろん、オリジナルに当たる3人のブルース・マンの曲も入っている(ジョン・メイオールのみがカバーでなく、オリジナル。映画を観れば理由は分かります)。どのミュージシャンもブルースをこよなく愛しているのだが、どう聴いたっていつもの調子と変わらないルー・リード、原曲の面影すらなくしてしまったマーク・リボー、相変わらずぶっ飛んでいるベックなどは本当に面白い。個人的には、今最もかっこいいアメリカン・ロックを歌い続ける姉御 ルシンダ・ウイリアムス(映画でも最もかっこよかった)、個人的にこの人が聞けて嬉しくてしょうがなかったガーランド・ジェフリーズ(若い子は知らないだろうな)、ギター1本のブルースはやはり最高のボニー・レイットも良かった。内容的にはアルバムだけ聴いても十二分に満足できる上質な出来となっている(実際、僕自身は映画を観る前からずっと愛聴していた)。ただ、こういうミュージシャンのカバーを聞いていると際立ってくるのが、オリジナルである。このサウンドトラックにもそんなオリジナルが入っているのだが、アナログで聴いていた頃にはノイズが雨のようだった音もマスタリングの進化によるんだろう、古さ、違和感を感じさせることなく収まっている。で、結局、そういった演奏に引き込まれてしまうのだ。それがオリジナルの凄さ、深さというものなんだろう。この『ソウル・オブ・マン』のサウンドトラックは、そういった部分でもブルースというものに慣れ親しむには最良の1枚だろう。より幅広いブルースを聞きたければ、この“THE BLUSE Movie Project”の製作総指揮をしているマーティン・スコセッシ監修による「マーティン・スコセッシのブルース:ある音楽の旅」という5枚組みのCDボックスもある。ここではカントリー・ブルースからニュー・オリンズ・スタイル、ジャンプ・ブルース、モダンまで様々なスタイルのブルースを歴史的に楽しめることが出来るはずだ。映画やこのサウンドトラックにはまったなら、ぜひ、手にとってみて欲しい。他にも山のようなアルバムがある。ブルースは底なし沼なのだ。

●『ビッグ・バッド・ラヴ』という映画のサウンドトラック

 ブルースを大々的に使っているサウンドトラックに『ビッグ・バッド・ラヴ』という映画がある。残念ながら、日本未公開の作品である。日本でも大ヒットした『デブラ・ウィンガーを探して』という女優の本音を語らせた作品のタイトルとなっている女優デブラ・ウィンガーが久々に復帰した作品なのだが、このサウンドトラックもブルースを大々的に使っている。アメリカの南部、ミシシッピーの作家であるラリー・ブラウンの短編集を映像化したこの作品がどのようなものかはよく分からない(ヴェトナム帰還兵でアル中の作家(たぶん原作者自身だろう)が物語を生み出そうとする中で、自分の前妻や子供たち、友人、親など存在する者、しない者にとらわれ続けているのだという)。ただ、サウンドトラックは素晴らしいので、この映画を何とかして観たい。豊穣な内容を持っているアメリカ南部の小説が原作だけに尚更だ。
 このサウンドトラックには、“ファット・ポッサム”というレーベルのブルース・マンの音が詰まっている。今、最も鋭く、ハードで深いブルースを生み出す男たちの音だ。この音がはまり込む映画、一体どんな映画なのだろうか。やはり観てみたい。
 映画が公開される見込みもないのに、このサウンドトラックが日本で発売されたのには大きな理由がある。トム・ウェイツの新曲が2曲入っているからだ。非常にシンプルなバックの音(自身のギターとアコースティック・ベースが基本)にあのだみ声。トム・ウェイツのファンなら、本当に素晴らしいこの2曲目当てだけにCDを手に入れる価値があると思う(多分、もうひとつの目玉であるテレヴィジョンのトム・ヴァーレインとクロノス・カルテットの競演は期待ほど面白くなかったな)。

●トム・ウェイツのことを少し・・・・

 トム・ウェイツといえば、『ダウン・バイ・ロー』など印象的な役者としても活躍しているし(彼自身の存在が役者のようだしね)、数多くの音楽が映画でも使用されている。その中でも個人的に印象的なのが『子供たちをよろしく』という作品に使用された(確かエンディングに流れた)「Take care of my children」という曲である。原題が『Streetwise』というこの作品は、そのタイトル通り、ストリートで生活する子供たちを追いかけたドキュメンタリーだった(もう一度、映画館で観たいね)。この映画のために書き下ろされたというこの曲は、本当にその内容にぴったりと重なる名曲だ。この曲、ライブなんかで日本のミュージシャンがカバーしてるのも聴いたことがあるが、トム・ウェイツ自身の演奏はレコードにも当然CDにもなっていないはず。何年か前にやっとCD化されたけれども『アウトサイダー』で使用されたスティーヴィー・ワンダーの「ステイ・ゴールド」に並ぶほどのなぜかレコード化されていない名曲のひとつだと思う。

●さて、ブルース・ブームは来るのだろうか&プレゼント

 ということで、『ソウル・オブ・マン』をはじめ、これから続々と公開される“THE BLUSE Movie Project”の作品群。映画館に足を向けるか、サウンドトラックを買うか、無視するのか、そんなことはどうでもいいんだけど、本当にブルース・ブーム、小波くらいは来るのだろうか。そんなこともどうでもいいか。うちのボロアパートでは、なぜかうちを含めて、3軒ほどの家からブルースが響き渡っている。これは来ているということなのかね。
 さて、ブルース好きの方、興味を持ってくれた方にプレゼントです。今回公開される“THE BLUSE Movie Project”のマスコミ用プレス(パンフレット)を3名様にプレゼントします。詳しくはこちら http://www.movienet.co.jp/present/ へ。
movilog
ピックアップムービー
サーチ
DVD比較はベストプライス


リンク
メールマガジン登録
 
 
 
ベクター・メディカルテック・ジャパン
 
本サイトをご覧になりるにはFlashPlayerが必要です。 IE5.0以上推奨 画面サイズ推奨800×600以上 お問い合わせ先