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■電気羊プロフィール
アニメーター、編集者を経て現在はフリーライター兼翻訳者のハシクレをしている。好きな映画は「ブレードランナー」、好きな役者はコリン・ファースと嵐寛寿郎。だんなについて、目下カリフォルニア州サンタクルーズに滞在中。せっかくなんで、コミュニティ・カレッジに通いつつ、映画三昧している。この度3年越しの夢が叶い、コリン・ファース主演作「フィーバー・ピッチ」で字幕翻訳家デビュー! 趣味はスキューバダイビングとビリヤード(どっちも超ヘタ)。日本から連れてきた耳垂れウサギを飼っている。


■過去記事一覧



写真01
スーパーマン リターンズ ポスター

写真02
プラダを着た悪魔 ポスター

写真03
ブランドン・ラウス

写真04

ブランドン・ラウスの眼からレーザービームが

写真05

ブランドン・ラウス&ブライアン・シンガー

カリフォルニアはサンタクルーズから、毎月最新ホヤホヤの映画情報をお届けする「もぎたて映画通信」。第25回は、涼しげなくりくりお目々がチャームポイントの主人公の映画を2本、ポキッ(←もぎとる音)。

☆『スーパーマン リターンズ』Superman Returns

監督が交代した「Xメン3」が、前2作と違ってこちらに響いてくるものがなくてガッカリした分、本作への期待がいやがおうにも高まりましたが、役者ならぬ監督の違いが出ましたね。サスガです、ブライアン・シンガー。

2月のワンダーコンで監督と主演コンビが強調していた通り、クリストファー・リーヴを踏襲したスーパーマンになっていました。スーパーマン像にとどまらず、第一作のシチュエーションやセリフを全編にわたってそこかしこで再利用しています。本編を観る前か後に78年度版を観ると、いっそう楽しめること請け合いです。エンドクレジットでは、故リーヴ夫妻に本編を捧げていました。そして、ほかでもないこの第一作踏襲路線が、批評家によってはダメ出しされる理由。『バッドマン』みたいに、新機軸を打ちださないとダメだそうですよ。評論家のロジャー・エバート(早く回復されますように)は78年度版に相当愛着があるらしくて、みんなが楽しそうに演じてなーい! とダダをこねていました。私はワンダーコンで、ブランドン・ラウスの聡明さと目の美しさに、ヨン様にときめく奥様方のようにやられてしまったので、もちろん熱烈支持。よだれを垂らしながら観ていました。また役者の見せ方がうまいんだ、シンガー。彼の目力を最大限に、いやスーパーに利用しています。懸案だったデジタル映像も、なかなかしっとり感をうまく出していました。パナソニックの新型デジタルビデオカメラを世界で初めて使った映画なのだとか。

ただ、ラブシーンだけはちょっと、アミダラ姫とダースペイダーが牧場でたわむれている場面に通じるこそばゆさがありました(^_^;)。一人耐えられなかったらしい若者がいて、「クセえ!」と吐き捨てるように言い残して席を立っていきました。見た目は絵になるかもしれないけど、カップルとしては、若すぎるのがあだとなってリーヴ&キダー版の情感は出せていませんでした。脚本家の2人もティーンエイジャーのように若く見える子たちなので、そのへんは仕方がないかも(^_^;)。

あと、NYに舞台が移った途端、古色蒼然としたファッションになり、「いつの時代なの?」と錯覚しちゃいそう。

<おまけ:トリビアんなスーパーマン>
S1 スーパーマン役のブランドン・ラウスがジェイ・レノの「トゥナイト・ショウ」に出た時、番組のバーテンダー(控え室にゲスト用のバーがあるらしいです)が紹介され、彼が78年度版でカルエルの赤ちゃん時代を演じていたことが判明!

S2 ヒロインの彼氏って、「Xメン」のサイクロプス。「3」ではあんまりな役回りでした(T_T)。

S3 映画冒頭に登場する財産家の老嬢は、最初のTV版ロイス・レイン役だった人。先日サンタクルーズのコミックショップにやってきました。80代ながらお元気そう。ケントとデイリー・プラネットのジミーが立ち寄ったバーのバーテンダーは、やっぱり昔ジミー役を演じた人だそうです。さらに、スーパーマンに抜擢される前のラウスは、ボーリング場でバーテン係をやっていたらしいです。バーテンつながり。

S4 メイキング場面での、ロケ地でのシンガー監督はめちゃくちゃうれしそう。レックス・ルーサーの手下に、いつもデジタルカムコーダー片手のヤツがいて、ルーサーにけむたがられるだけで意味がないんだけど、監督の分身? ちなみにスーパーマンのサイトには監督のビデオブログがアップされてます。

S5 もうひとりの手下、カル・ペンは"Harold & Kumar Go to White Castle"のクマール役で注目された人。痛快コメディだけど、人種ネタなので日本公開はむつかしいかな。

S6 ルーサーとスーパーマン対決の時、ルーサーがあることをするんだけど、どうもそれはスペイシーのアドリブらしい(←ウラは取ってません)。

S7 デイリー・プラネット社のオフィスが、フランク・ロイド・ライトの建物みたいと思った人、手を挙げて。

S8 もうすぐ、モトカノはスーパーガールだった! というコメディ"My Super Ex-Girlfriend"が、ユマ・サーマン&ルーク・ウィルソン主演で公開されます。予告編がすごく面白そう! 主題歌はやっぱりXTCかしら?

☆『プラダを着た悪魔』THE DEVIL WEARS PRADA

全米ベストセラー小説の映画化。ファッション雑誌の出版社でアシスタントとして働き始めたジャーナリスト志望のヒロイン(アン・ハサウェイ)の上司は、泣く子もだまる超タカビー(死語)な鬼編集長(メリル・ストリープ)だった! というおしゃれコメディ。

なんといっても、ストリープの大奥みたいな傍若無人演技が見ものです。ハサウェイに押しつける無理難題が、はんぱじゃなくて、嵐の中を飛ぶジェットを用意しろだの、ハリポタの出版前の原稿を入手しろだの、公私混同なんて言葉は彼女の辞書にはありません。素人目にはほとんど見分けのつかない2つのベルトがいかに違うかを、この世の理のように語る彼女に集約されるファッション業界の、一種独特な世界(知らないけど)を、うまーく映画で表した監督は偉いと思います。この手の小説を映画化するのって案外難しいのではないでしょうか。ファッション面もオーケーらしく、ヘップバーンの『ファニー・フェイス』以来の、トレンド的に正しい映画とする評もありました。先輩アシスタント役のエイミー・ブラントも、ストリープに準じてビッチ役を好演していました。いぢわる女役を演じるのって、楽しそうです。

ただ、ファッションにうとい私には、始まって10分くらい経つと、キャラクターたちへの興味をつなぎ止めるのに苦労しました。でも最後の方にドラマチックな展開があるので、苦労は報われますが。オープニングの数分間は、そのまま丸ごと予告編に使われたくらいテンポがよく、つかみはバッチリなんですけどね。

似たようなシチュエーションの、『ブリジット・ジョーンズの日記』と見くらべてみるのも一興かもしれません。なんだか上司が男だった場合と女だった場合のケーススタディみたいだし、出版社自体は硬派なのにヒロインは愛嬌だけが武器の超軟派な『ブリジット』と、ちゃらちゃらした(華やかともいう)出版社なのにヒロインは硬派なジャーナリスト志望の本作。『ブリジット』のヒロイン像に反発したキャリアウーマンたちも、しごきに耐えるけなげなハサウェイには共感できるかも。しかも、しごきに耐えれば「ファッションセンスゼロのでぶ女」(←ストリープ編集長にはそうみえる)から、おしゃれな服着放題の洗練された美女に大変身、というごほうびが待っています(^_^)。

アン・ハサウェイは、信じられないほどつぶらな瞳と白くてなめらかな肌、純粋無垢な雰囲気の女優ですが、新スーパーマンが、なんだかハサウェイに似ているのです。クリストファー・リーヴとアン・ハサウェイのハイブリッド顔。

P.S. 前回のコラムでご紹介した1作、『金太郎日本を歩く』のキンタローインタビューが、8月上旬号あたりのキネ旬に掲載されます。よろしくね!

ぢゃ、また。
(July 11. 2006)


電気羊

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