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■電気羊プロフィール
アニメーター、編集者を経て現在はフリーライター兼翻訳者のハシクレをしている。好きな映画は「ブレードランナー」、好きな役者はコリン・ファースと嵐寛寿郎。だんなについて、目下カリフォルニア州サンタクルーズに滞在中。せっかくなんで、コミュニティ・カレッジに通いつつ、映画三昧している。この度3年越しの夢が叶い、コリン・ファース主演作「フィーバー・ピッチ」で字幕翻訳家デビュー! 趣味はスキューバダイビングとビリヤード(どっちも超ヘタ)。日本から連れてきた耳垂れウサギを飼っている。


■過去記事一覧



写真01
サンタクルーズ映画祭の
ポスター

写真02
In Memory of My Father
場面写真

写真03
waterborne場面写真

写真04

マイクを握る黄色い服の
男がWaterbornの
レキー監督

写真05

Kintaro_walks_Japan
場面写真

写真05

Red Lionポストカードと
キーホルダー

写真07

"In Memory of My Father"の監督と映画祭代表者ジェーン

写真08

"Kintaro"ことタイラー君と
歩海さん

カリフォルニアはサンタクルーズから、毎月最新ホヤホヤの映画情報をお届けする「もぎたて映画通信」。第24回は、今後大注目の映像クリエイターたちの饗宴、第5回サンタクルーズ映画祭を特集!

☆In Memory of My Father 
http://www.inmemoryofmyfather.com/

映画祭オープニングを飾る本作は、大物プロデューサーだった父親の臨終と通夜の様子を、本人に頼まれてカメラに収める3人の息子たちの物語。監督・脚本・主演を務めるクリストファー・ジェイムスは、知人で本作のタイトルロール(父親)を演じているデヴィッド・オースティンの持ち家で、実在の大物プロデューサーのサミュエル・ゴールドウィンが所有していた豪邸を数日間だけ撮影に使えると聞かされ、急遽5日で脚本を書きあげ4日で撮影したそうです。おかげで編集段階でえらく苦労したとか。いくつかブレちゃってたり、ピントが甘いショットがあるのもむべなるかな。

父親の死を悼むために開かれた通夜の晩、そんなことはそっちのけで自分たちの問題(主に恋愛問題)にばかりかまける息子たち。ジェイムスは3男クリスに扮し、ワンダ・ジャクソンのツアーにも同行したという本格的なピアノを聴かせます。レズに走った妻に傷心の次男を演じるのは、HBO製作のTVドラマ「シックスフィート・アンダー」で、姉ブレンダに執着する神経質なビリーを演じたジェレミー・シスト。彼お得意の自己陶酔型ギリギリ演技は、本作の見どころのひとつになっています。

初監督作にして40以上の映画祭で上映され、シネ・ベガス映画祭では審査員賞も受賞したジェイムスの前途は有望で、今後はカサベテスやアルトマン映画への出演が決まっているとか。自分や友人のポケットマネーで製作費をまかなった、超低予算の自主映画のわりに、端役にいたるまでゴージャスな美女揃いなのは、ハリウッドの土地柄ゆえか、はたまた映画祭にも女の子たちをはべらせて登場したモテモテ男ジェイムスの人徳か(^_^)。モトカレ、モトカノが入り乱れる錯綜した人間ドラマは、ひところ日本のトレンディドラマでもよく見かけた図式で、そういうのが好きな人には面白いかも知れません。

私も、あとセリフを5割減らしてくれたら、もっと楽しめたかも(^_^;)。身勝手な登場人物たちのなかで、痩せたアナ・ニコール・スミスみたいな役回りの、亡父の若い彼女ジュディの悪意のなさが救いです。でも監督本人は気さくな好青年で、彼の人柄を感じさせるのが、最後の最後に出てくる、子ども時代の息子たちの回想シーン。それ以外は実に鼻持ちならないロクデナシたちを鼻持ちならない演出で撮っているわけで、つまり演出力があるのしょう。そっちが本質、という気がしないでもないですが。

ちなみに役名と役者のファーストネームが一致しているのは、TVドラマのエキストラで場数を踏んで来たジェイムス監督の、なにやら苦い経験によるらしいです。

☆VAGABOND SHOES
http://www.britfilms.com/britishfilms/catalogue/browse
/?id=5685BFBB1b201318B0oPnH2B73ED

ロンドンが舞台の、チャーミングな短編ミュージカル。映画祭の醍醐味は、短編映画にありといっても過言ではありません! 

イェイン・グレン(「スパイ・ゾルゲ」「トゥーム・レイダー」)扮する浮浪者アレックが、ある夜道ばたに座っていると、目の前を走り去った車がクリーニング済みタキシード一式を落としていった。目を上げると、向かい側のダンスホールの中へ、着飾った男女が吸いこまれていく。公衆トイレで着替え、パリッとした紳士に変身したアレック(ただし靴はボロのまま)は、人混みに紛れてまんまと中に入りこむと…。「愛と野望のナイル」の冒険家役で、耳に虫が入りこんでもだえ苦しむ演技が恐ろしくて忘れられないグレンが、ここではビックリの鮮やかな歌と踊りを披露します。後で配役を見るまで、グレンだって気づきませんでしたよ(^_^;)。何度でも観たい、素敵な小品です。

☆Waterborne
http://www.thenextattack.com/

テロリストがロサンゼルスの貯水池を汚染したために起こるパニックを、「クラッシュ」のような群像劇として、緊迫したスタイルで描く力作です。

ロス中の飲料水が飲めないと知った住民たちはパニックを起こし、町を脱出しようとして道路は大渋滞。マリファナの売人でトラブルメーカーのボーディと、優等生タイプのザックのいとこ同士が水を求めて雑貨屋に入ると、そこはシーク教徒のヴィクラムが家族で細々と営んでおり、店内は差別主義者たちに蹂躙された後で水はないといわれる。
カッとなったボディは拳銃を取り出して居合わせたアジア系の母子を人質にとり、「隠してある水を出せ!」と脅す。母はすきをみて携帯電話で、貯水池の警備に当たっている州兵の夫に助けを求める。急ぎかけつけた夫が目にしたものはーー。というクライマックスへ向かい、一触即発の不穏な雰囲気の中、二日間の出来事をたんたんと盛り上げていく監督のベン・レキーの手腕は揺るぎなく、凝った映像よりもストーリーを語ることに重きを置いた演出は見応えたっぷり。ごく近い将来に起きる出来事をシミュレーションしているようでした。レキーが製作をつとめた「ボム・ザ・システム」は、日本でも昨年公開されています。社会派なんですねー。

☆Kintaro Walks Japan 
http://kintarowalksjapan.com/index.html

UCサンタクルーズ大の卒業生、タイラー・マクニブン君が、日本の最南端から最北の地まで、徒歩で旅した様子を記録したドキュメンタリーで、みごと映画祭ベスト賞を勝ちとりました。当時(2年前)は日本各地の新聞やニュース番組で取り上げられたようなので、ご記憶の方もいるのではないでしょうか、北海道のどこかにある父親の出生地を訪ねて歩く、青い目の「金太郎」君のことを。サンタ映画祭は毎年何作か日本が舞台の短編やドキュメンタリーを上映してくれ、どれも興味深かったので、今回も一カリフォルニア青年の見た日本の姿はどんなだろうと期待していたのですが、「Kintaro」の日本は期待以上に面白くて素敵なところでした。行く先々で、見ず知らずの異国のヒッピー兄ちゃんを泊めてあげる人々や、くったくなく笑顔で声をかける子どもたち。瀬戸大橋を歩いて渡ろうとして、警察に保護された金太郎を受けだしてあげる一宿一飯の主とか、いい人ばかり。まさに「旅は道連れ世は情け」(←彼のモットー)。全編をおおう、レイドバックした金太郎の気質を反映した雰囲気が心地よく、観客といっしょに楽しく鑑賞できました。特筆すべきは、編集のうまさ。これが処女作というから、驚きです。映画の影の功労者は、アニメーションと音楽を担当し、金太郎の恋人として出演もしている歩海さん。ふたり仲良く会場にも姿を見せ、上映後の質疑応答は、ちょうどこちらのTVで放映中だったリアリティ番組「アメージング・レース」でタイラー君が勝ち残っていることもあり、大盛り上がり! 

ホームページでは歩海さんが作ったミュージッククリップや、本編がまるごと見られるので、興味を持った方はリンク先を訪ねてみてください。そのうち、「キネマ旬報」誌に金太郎のインタビューが載る予定なので、そちらもよろしくね!

そのほか、冒頭にいきなり創価学会の池田大作の言葉が掲げられてギョッとした、実験的な短編映画"Red Lion"(監督のジェシー・レヴィは創価学会の会員だそうで、映画の宣材として指が曲がる手の平のキーホルダーをくれました。「赤いライオン」というタイトルは、もともと"Rebellion"というタイトルだったのが、ある時手違いで"Red Lion"と印刷されたのを気に入って、そのまま使っているそうです。イギリスの映画祭に出品した時は、たまたま赤いライオン亭に泊まったそうです(^_^))や、自分は高所恐怖症なのに、トランス・ミュージックに乗せてスカイダイバーたちのジャンプをひたすら捉えた、ひたすら痛快なモンタージュ作品"Most People Only Dream of Flying"、サンフランシスコのベイブリッジ架けかえにまつわる政界のドタバタ劇を、アーカイブ映像とインタビューで構成した興味深いドキュメンタリー"The Bridge So Far"、ナパバレーのワイン畑を売っ払い、そのお金で気に入った美術品を買い集めて私設美術館まで開いたご老人の素朴な日常を追ったドキュメンタリー"Smittten"、見損ねちゃったけど、チャゲアスのチャゲが製作した"Missing Page"など、どれもこれも粒ぞろいで、年々充実していくサンタクルーズ映画祭が、わがことのようにうれしい電気羊でした(^_^)。サンノゼ映画祭に負けるな〜!

★ サンタクルーズ映画祭

ぢゃ、また来月(あたり)。
(June 13. 2006)
電気羊

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