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■インタビュー会場にて

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■インタビュー会場にて

- みんなが「探偵ってさあ」といような探偵ブームを巻き起こしたい -

 林海象監督といえば、30代後半以上の世代なら『夢みるように眠りたい』という作品のインパクトを思い出す方が多いだろうし、それより若い世代なら永瀬正敏のファッションも印象的だった『私立探偵 濱マイク』シリーズの映画版やTV版のシリーズになるのだろう。映画、TVはもちろん、大学教授までをこなす林監督の久々の劇場映画はその『夢みるように眠りたい』、『私立探偵 濱マイク』などこだわり、描き続けてきた探偵もの『探偵事務所5 5ナンバーで呼ばれる探偵たちの物語』である。この作品は“5ナンバーで呼ばれる男たち”500番から599番までのそれぞれのドラマの第1弾であり、その他の物語は劇場のスクリーンだけでなく、インターネットでの配信、コミック化など多種多様な形態で僕たちの元に届けられる(実質的にはネットドラマはすでに配信されている)。
  この映画の公開を記念して、林監督に合同取材を試みることが出来た。探偵事務所5のユニフォームである黒のスーツという姿で登場した林監督はこの作品、探偵、インターネットに感じていることなどをここには掲載できない部分も含め、大いに語ってくれた。

Q.映画版のメインキャストとして、成宮寛貴さんと宮迫博之さんを起用した理由を教えてください。

A.ふたりとも随分前から一緒に仕事をしてみたかったんです。成宮君は『あずみ』の頃からすごくいいなと思っていまして、舞台も何度か見せていただきました。宮迫さんは『蛇イチゴ』、『CASSHERN』など映画に出ているときの演技が凄く好きでした。それが理由です。今まで僕の作品でキャスティングされてきた人には友人が多かったのですが、このふたりはそうではなく、全く初対面でした。
  成宮君はこの作品を撮ったときとはすでに状況が変わってきているのですが(注:より大きく外へと活躍しているということ)、彼には未来を感じます。宮迫さんは演技に対して真摯な、真剣な態度を感じます。昔から芸人さんが好きで、芸人さんのバラエティーや笑いはすごく前に出た演技だと感じていたので、そういう方に台詞を渡して演技をしてもらうのはうまいに違いないと思っていました。それとふたりとも顔が好きです。

Q.撮影中の印象的なエピソードがありましたら、教えてください。

A.撮影は1月なのでかなり寒かったです。ふたりはコートも着ないスーツ姿だったので本当に寒かったと思います。成宮君は38度くらいの熱がある中での撮影もありました。
  おでんを食べるシーンは、蒲田に戦後からある老舗のおでんやさんを呼んで撮影したのですが、ふたりとも本当に凄くうまそうに食べていたことが印象的でした。
  長瀬君の演技は僕が言うのも変なんですが「(濱マイクの頃より)成長したんだな」と感じさせるほど気迫に満ちていました。それも印象に残りました。

Q.『私立探偵 濱マイク』シリーズから8年間経っていますが、この企画をどのように準備してきましたか。

A.この作品は.『私立探偵 濱マイク』シリーズの直後から考えています。佐野史朗(注:この作品にも出演している)に聞いてもらえば分かるのですが、8年前から言っています。ただ、“探偵5”というイメージがあったのですが、うまく固まらなかったのです。そのように言い続けているうちに、2002年にヤフーBBの方から声がかかり、パイロット版となる「私立探偵551」というのを撮りましたが、浸透はしません。そのためビデオのコピーを300本くらい取り、来る人来る人にビデオを配り、見せ続け、徐々に浸透し、今回、声をかけてもらったのです。8年間言い続けてきたことがやっと形になったのです。「言い続ければなるのかな」と思いました。

Q.8年前からインターネットでの放映は考えていたのですか。

A.最初は映画館での新しいシリーズとしてしか考えていませんでした。今回、声をかけていただいた昨年(2004)頃からインターネットとの融合は考え始めました。『私立探偵 濱マイク』はTVと合わせて15本くらいのシリーズを作り、コアな部分では定着したと思います。『探偵事務所5』をシリーズで撮るのはチャレンジングで面白かったです。いいシリーズになってくれたらと思います。

Q.『探偵事務所5』というタイトルは宍戸錠さん主演の『探偵事務所23』から来たのかなと想像させるほど、宍戸錠さんはこの『探偵事務所5』、『私立探偵 濱マイク』シリーズなど監督の作品には欠かせない俳優のように感じられます。宍戸錠という俳優への監督のこだわりを教えてください。

A.ああ、たしかに『探偵事務所23』を足すと.『探偵事務所5』ですね。意識はしていませんが『私立探偵 濱マイク』の時はあの探偵がこうなったという部分で意識をしていました。それがつながっているのかもしれませんね。宍戸錠さんは僕にとって映画スターらしい映画スター、映画俳優らしい映画俳優、映画の匂いが残っている人ですね。そしてすごくいい人なんです。そうじゃなければ、宍戸錠という役をやりませんよね。こちらを全面的に信頼してくれているみたいですし、僕も宍戸錠さんがきっとすごく好きなんですよね。多分、そのままの芸名が役柄という人はいないですよね。最初、役名はどうしましょうかと聞いたら「宍戸錠でいいんじゃないか」と言われたんですよ。

Q.宍戸錠さんを主役とした作品を撮る予定はありますか。

A.シリーズはいくつも撮る予定ですから、宍戸錠さんのエピソードがあってもいいと思いますね。宍戸錠さんや(日活アクション時代の)旧友たちが出るといいですね。今回のインターネット版(映画版にはナレーションのみで出演していない)なんですけど、探偵500が宍戸錠さんで、599が宍戸開さんなんですよ。ふたりを合わせれば「錠が開く」ということで、これを考えたときはかなりいいなと思いました。宍戸親子も喜んでました。

Q.今回の映画版では1本の映画の中に2人の主人公がいて、2つのエピソードがあり、それぞれが描かれ、それがひとつの物語に集約されていくという構成になっていますが、このような構成を考えたのどうしてなのでしょうか。

A.最初は1本60分の、エピソードごとに主人公が入れ替わるシリーズものを考えていました。だからバラバラのストーリーでも良かったのですが、話自体がこの映画版の1話と2話に限って連続し、主人公も敵役も代わるほうが面白いのではないかと思ったのです。メインのストーリーふたつが連結することにより、隠されたメインのストーリーが浮かび上がってくるという構成は面白いなと思ったのです。ただ、こうした構成は今回限りだと思います。でも、この隠されたストーリーの犯人は他のシリーズのどこかに姿を変えて出てくるはずです。彼は現代の怪人20面相をイメージして作り上げたキャラクターなのです。

Q.現代らしくコンピューターを駆使する探偵ではなく、あえてノスタルジックな雰囲気にしたのはどうしてですか。

A.ノスタルジーにこだわっているとは思っていません。例えば、ヨーロッパに行きますと人は変わっていますが、街の持つ風景は変わっていません。それくらいの速度で日本も進めば『私立探偵 濱マイク』や『探偵事務所5』の世界だと思うんですね。日本は時代の変わり方が急激過ぎるんで過去に見えますが、あれは僕にとっての現代です。
  コンピューターはこれでなんでも出来てしまうので映画にもなりにくいのです。あと、バーチャルは僕の頭ではまだ理解できていないし、そういう作品も作りたいけどどう撮ればいいのか分からないのです。

Q.今後の仕事の中でインターネットはどのようなポジションになっていきますか。

A.作品を発表できる場があるなら映画館であろうが、TVであろうが、インターネットであろうがやりたいと思います。
  インターネットに関して言えば、インターネット・シネマは扉が開いたばかりなのでそこではまだ自由がある。そこが面白いところです。予算はないけど自由はある。そしてインターネット・シネマに関しては皆が格下に見ています。それもキャストが魅力なく、学生に毛が生えた映画みたいな作品だったのだから仕方ありません。そこに僕らが入り、ちゃんとしたドラマを作るということは挑戦的で面白いです。先はどうなるか分かりませんが、画面のクオリティーがTVと同じくらいになれば我々にとっては強力な武器になるのではないかと思います。ただ、その頃には誰かがが制御ているでしょうから、また新しいメディアを探すことになると思いますが。

Q.今回の作品もそうですが、映画のディテールは監督にとって重要ですか。

A.ディテールは重要です。映画には映るものしかありませんからね。感じるものとしてのキャラクターの心情も大事ですが、まず見えるものは形ですから形へのこだわりは大きいですね。
  現実にあるものは役に立つように出来ていますが、映画の中のものはこの作品の探偵7つ道具のように役に立たなくてもいいんですね。映画だとそういうものが作れるんでそこが好きですね。その7つ道具のひとつとして使用されている時計は「こんなのがあったらいいな」と思いながら描いたのですが、実際にそういう時計があり、作品に提供してもらいました。今度「5」という文字盤が付いた時計も発売されます。こうした物が映画の世界から現実に戻るというのも面白いと思います。

Q.『探偵事務所5』の世界に引きずり込みたい人物はいますか。

A.ブルーノ・ガンツ、デニス・ホッパー、ショ−ン・コネリー、スマップ・・・・・・言うのは簡単ですからね。
  ネットの中ではかなり多くのキャラクターを作ったのですが、例えば台詞も七五調の“俳句探偵575”、“ロボット探偵”なども考えています。山田風太郎さんの忍者シリーズみたいに、どれだけバリエーションを考えられるかが勝負の世界ですからね。日本人に限らず、ドイツやアメリカの探偵が出てきてもいいし、少しずつ拡大していけばいいと思いますね。アイデア募集中ですし、出演したい方々は手も挙げて欲しいです。

Q.『私立探偵 濱マイク』シリーズは永瀬正敏さんの個性的なファッションも注目されたと思うのですが、この作品は全員が黒のスーツというある意味、没個性なファッションですがそのようにした意図を教えてください。

A.本来、探偵とは地味なものなので、リアリズムに持っていこうと思ったのですが、ああいう衣装を着ることでリアルではなくなりました。
  黒のスーツにしたのは、全員が同じ衣装を着ると個人の個性が引き立つのではないかと考えたのと、最初はリアリズムだったのですが、あんな探偵はいないですよね。濱マイクも尾行はし難いでしょうが、5の面々もし難いです。 黒沢の『天国の地獄』の制服を脱ぐとみんなスーツを着ているというようなあの世界観、男はスーツというような世界観が好きなんです。

Q.探偵学校を卒業していますが、その経験はこの作品に活かされていますか。

A.探偵の実際の行動というのは映画にし難いんです。ただ、探偵事務所5の精神である“依頼者を家族と思え”というのは探偵学校で習った言葉です。依頼者を家族と思えばどんな苦労もいとわないはずだという精神は引き継いでいます。
  探偵とは違和感なくここに来て質問して帰っていくような人です。いつ来て、いつ帰ったかも分からないような人です。じつは映画にもしたい部分があったのですが、探偵は守秘義務があるので難しいんですよね。

Q.映画の中にある探偵バーみたいなものは実際に存在するのですか。

A.あんな分かりやすい形ではありませんが存在します。そこは探偵と警察しか飲んでないようなところです。各国の諜報機関が逃げ込むような場所もあります。

Q.美容整形がテーマになっていますが、そこで描かれていることは事実なのですか。

A.あれは事実です。かなり調べたものをデフォルメしたのでほぼ60%は本当です。そういう危険性があるということです。映画に描かれている目だけを手術するはずなのに、信販会社つきでセットにされてしまうというのは本当です。手術のシーンも本当に見たものを抑えて描いています。

Q次の作品で描きたい社会的事実やエピソードはありますか。

A.たくさんあります。ひとつはカルトの問題です。今は下火になりましたが、これは根強く残っているので興味があります。それと、中国などに行くと僕の作品が海賊版で全て売られていたりするのですが、この違法コピーの巨大市場の背景を探っていくことには興味があります。あとは最近ものすごく多い少年犯罪ですね。これはすごく大きな問題なので興味があります。ただ、これをやるとかなり暗い話になりますね。M&Aとかどうですかね。
  ニュースは最近すごいですから映画を撮るのは大変だと思います。

Q.濱マイクは一匹狼的で、今回は会社組織みたいなものなのですが、監督が今まで描いてきたかっこいい探偵が描き難くなるのではないですか。

A.007も組織の人間ですよね。確かに個性は洋服により減るかもしれませんが、この作品は事件の数だけ探偵が必要な継続するシリーズですので、継続して群像劇になればなるほど面白いのです。だから、どこまで続くかが勝負になります。映画、インターネット、マンガ、TVなど全体を見たときに面白いシリーズになっていればいいなと思います。そういった群像劇であることは間違いないです。

Q.監督の探偵感を教えてください

A.浮気調査や盗聴器を外したりという描かれ方の探偵が多いですが、それは探偵の仕事の一部で、実際は出生調査や素行調査など核心に迫る部分を追う探偵が多いのです。でも、探偵の描かれ方は浮気調査など類型的です。だからこそ、僕くらいはオーソドックスで、理想とする探偵を描きたいと思いました。みんなが「探偵ってさあ」といような世界が来ることを願っています。 

Q.監督にとって理想の探偵像は。

A.独立した自由人であるということです。『探偵事務所5』の探偵たちはそこに所属していますが、ひとり一人の独立している者が集っているのです。映画も一緒で監督だけでは撮れません。それはどれだけ人と繋がっているかということでもあるのです。盗聴器を外す探偵にだけはなってほしくないですね。

『探偵事務所5 5ナンバーで呼ばれる探偵たちの物語』映画版は11月26日よりシネ・リーブル池袋ほかにて全国ロードショー。

作品詳細は
http://www.movienet.co.jp/movie/opus05/tantei5/index.html で。

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