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■電気羊プロフィール
アニメーター、編集者を経て現在はフリーライター兼翻訳者のハシクレをしている。好きな映画は「ブレードランナー」、好きな役者はコリン・ファースと嵐寛寿郎。だんなについて、目下カリフォルニア州サンタクルーズに滞在中。せっかくなんで、コミュニティ・カレッジに通いつつ、映画三昧している。この度3年越しの夢が叶い、コリン・ファース主演作「フィーバー・ピッチ」で字幕翻訳家デビュー! 趣味はスキューバダイビングとビリヤード(どっちも超ヘタ)。日本から連れてきた耳垂れウサギを飼っている。


■過去記事一覧



写真01
「Must Love Dog」ポスター

カリフォルニアはサンタクルーズから、毎月最新ホヤホヤの映画情報をお届けする「もぎたて映画通信」。第16回は、チョコと犬に目のない人たち必見(?)映画2本と、はずれなしHBOTV映画1本をご紹介しましょう!

☆「チャーリーとチョコレート工場」
CHARLIE AND THE CHOCOLATE FACTORY

 ティム・バートンが、「ジャイアント・ピーチ」(製作)に続いてロアルド・ダールの児童文学、「チョコレート工場の秘密」を映画化。「シザーハンズ」や「エド・ウッド」など、バートンとは絶妙コンビのジョニー・デップが怪しい白塗りサイケデリックファッションで決めて、工場の持ち主ウィリー・ウォンカを演じます。音楽ももちろんダニー・エルフマン。エルフマン節炸裂(いつもしてるか)のにぎやかサントラ、愛聴しています。うんぱ・るんぱ、うんっぱ・るんっぱ〜。チャーリー役の子は、「ジャイアント・ピーチ」の子に似てますよね、頭の形とか。

 原作も、ジーン・ワイルダー版の映画も観たことがないので、余計な思い入れを持たずに見にいきましたが、とっても面白かったです! 一部で「マイケル・ジャクソン?」の声も囁かれる、かなり気色悪いウォンカの役作りに、映画評論家のロジャー・エバートも「今回はジョニー・デップ、すべってる」と言ってましたが、でもこの人は変なら変な役ほど光るのも事実。ネカ社のウォンカフィギュアがよくできていて、欲しくなります。

 バートンというと、短編の「ヴィンセント」からの人形アニメの印象が強いので、オープニングの工場でのチョコレート生産シーンがCGアニメで、ちょっと出鼻をくじかれました。でもストップモーションでやってたら、何年もかかってしまいますからね。「マーズ・アタック!」でも、バートンは躊躇無くCGを使っていましたし。もうすぐ、人形アニメの"Corpse Bride"も公開されるますしね。それに、ウンパ・ルンパたちは、CGを使わなきゃできないし、ウンパ・ルンパむちゃくちゃ愉快です! 大好き! もうやりたい放題。「銀河ヒッチハイク」のマーヴィンに劣らぬ印象的なキャラです。女ウンパ・ルンパもいるよ。ウンパ・ルンパの国や、ピンクの船でのチョコ川下りなど、昔のB級秘境アドベンチャー映画(「キング・コング」とか「ターザン」とか)+テーマパークの出し物みたいな趣で楽しいです。「ホイップ・クリーム」のダジャレには笑いました〜。それから、本物のリスたちを調教したという、リスのクルミ割り部屋が最高です。生で見たら喜びのあまり発狂してしまいそう。"キ”のつくほどこだわりのあるクリエイター達に感謝です。

 チャーリーのお父さんとお母さんが、ヘレナ・ボナム=カーターとノア・テイラーという素敵なコンビ。やはりノア・テイラーに眼をつけましたね、バートン。お祖父さんが当たりチケットを見て踊り出しちゃうところは、「ベイブ」のジェームズ・クロムウェルみたいにチャーミングです。結構ブラックな展開で、「わー、お子様がトラウマにならないか?」と心配になりましたが、あとで原作をパラパラみたら、原作がそうなっていたのですね(^_^;)。ただ、ウォンカの父、クリストファー・リーは映画オリジナルみたいで、彼のシークエンスはバートンの前作「ビッグ・フィッシュ」を引きずっていて、素敵にドライな映画の中そこだけウェットでした。

 今のとこ、「銀河ヒッチハイク」に続いて今年のナンバー2映画です(^_^)。

「チャーリーとチョコレート工場」公式サイト

☆Must Love Dog

 ジョン・キューザックとダイアン・レイン共演のラブコメディです。もちろん題名に引かれて見にいきました(^_^)。離婚の痛手から立ち直れずにいるダイアンが、お節介な姉がインターネットの出会い系サイトに募集広告を載せたことから知りあったキューザックと、不器用に愛を育んでいく物語。サイトに載せた自己紹介ページに、「犬好きな人求む」と姉が書いた1文が、タイトルの由来になっています。"love me, love my dog"という慣用表現もあります。

 あまり批評がよくないので、そのつもりで見にいったのが幸いしてか、それなりに楽しめました。ところどころ、キャラクターの行動に無理がありますが、シークエンス毎に性格や行動様式がコロコロ変わるのは、最近のトレンドのようなので目をつぶりましょう。ただ、ダイアン・レインがかんしゃくをおこして、ダーモット・マローニーの眼鏡をこわしちゃうのですが、伊達眼鏡じゃないと証明された後だけに、裸眼で車を運転するのは危険ではないですか?

 ダイアンのやもめ父親で、自分に自信があるんだかないんだか分からないストッカート・チャニングのハートを乱すプレイボーイ役を、クリストファー・プラマーがトラップ大佐のカリスマを大いに発揮して演じています。ジョン・キューザックは、中年に近づくにつれ、チャームポイントだったキラキラお目々の眼力が失われ、新たな魅力を開発しないと、ちょっと難しい時期に入っているかもしれません。というか、自分が若い頃に青春スターとして輝いていた俳優達が、夢を見に来たはずのスクリーンの中でどんどんおじさんやおばさんになっていくのを見せつけられるのは、ちょっと辛いものがあります。かといって、不自然にいつまでも若い容姿の方々も、それはそれで裏の苦労がしのばれて何なんですが(^_^;)。観客って勝手ですね。

 ジョン・キューとダイアンのお似合いぶりを表す小道具として、「ドクトル・ジバゴ」を使っています。確かに、あの映画をそんなに何度も何度も繰り返し見る人たちは、あまりいないと思うので、お似合いかも(^_^;)。ヒロインに最後の一押しを加えるのが、年季の入った老年紳士の言葉というのが、少し「眺めのいい部屋」みたいです。

 これも、脚本家のフォーミュラに則ったプロット作りが透けて見えてしまう、薄い映画ですが、犬たちがかわいいので許してしまおう。ダイアンの弟(のその後はどうなったんだ)の大きくて黒い犬、マザー・テレサも、ジョン・キューザックの友人が飼っている死んだ真似がうまい白いテリアもどちらもかわいいです。

「Must Love Dog」公式サイト

☆"The Girl in The Cafe"

「ラブ・アクチュアリー」、「フォー・フューネラル」、「ノッティング・ヒルの恋人たち」、「ブリジット・ジョーンズの日記」などの脚本/監督家、リチャード・カーティスが、ケーブルテレビ局HBOのために書き下ろしたラブ・ストーリー。出演は、ビル・ナイとケリー・マクドナルド。監督はデイヴィッド・イェーツ。え、デイヴィッド・イェーツって誰ですって? 嫌ですねぇ、ハリポタシリーズの次の次の監督さんぢゃないですか。なーんて、私も知りませんでした。

イギリス政府の官僚ローレンス(ビル・ナイ)は、仕事中も書類を手離さないような仕事中毒の初老の男。大蔵大臣のスタッフとして働く彼は、間近に控えたG8会議の準備で大わらわだ。ある日、混み合ったカフェで見知らぬ若い女性ジーナ(ケリー・マクドナルド)と同席し、どうにも盛り上がらない会話が仕事一直線の人生の琴線に触れたらしく、ローレンスは、勇気を出して女性をランチに誘う。ランチの席では上司の大蔵大臣に見つかってしまい、ドギマギ。別れた2時間後にはジーナに電話して、G8会議の開かれるレイキャビクへの同行を誘い、オーケーをもらって大はしゃぎ。現地のホテルでは、手違いから相部屋になってしまい、やっぱりドギマギのローレンス。会議の出席者が集まる大事なパーティーにジルを同伴するが、おとなしいジーナが意外にも、大蔵大臣に向かって、世界の貧困問題に、なぜ手をこまねいているのかと、突然詰め寄りだしーー。

しっとりムードのこぢんまりしたラブストーリーだなあ、お祭りムードが好きなお調子者のリチャード・カーティスにしては意外だなあと思って観ていたら、突然ジーナが演説しだして、私もローレンス並みにビックリしました。でも、「ラブ・アクチュアリー」でもおヒュー・グラントに首相役をやらせたりして、カーティスは結構自分の映画で政治を語りたがる傾向が見受けられますよね、そういえば。理想主義というか、徹底した楽天主義というか、性善説原理主義者な面目躍如の作品になってます。ぜったい「チーム・アメリカ」の操り人形たちにぶっ殺されるタイプでしょう。でも、どっちが生産的な態度かと言われれば、どっちの世界に住みたいかとジーナに詰め寄られれば、「こっち」と答える私も、性善説タイプなのかもしれません。とても感動しました。「どっちかなんて、それが問題なの?」とジーナなら言いそうですけど。

というわけで、本作の見所は、ローレンスとジーナの会話の妙。カーティス映画の定番、おヒュー様演じるキャラクターがそのまま年とったようなローレンスを、ビル・ナイが嫌味になることなく、ひょろひょろ演じて素晴らしいのはもちろん、謎めいた影のある(入れ墨もある)ジーナを演じるマクドナルドも、難しい役所を真実味をもって演じています。このヒト誰だろー、と思ったら、「ネバーランド」でピーターパンを演じた人だそうです。ヘー、と感心していたら、ナント「トレインスポッティング」の、あの女の子だったんだ! ひぇぇ〜。しかも、「銀河ヒッチハイク・ガイド」でレポーター役としてチョイ役で出ていたのね〜。気がつかなくてごめんよぉ〜、だって地味なんだもーん。でも、この人は注目ですよ。だって、今度、「Nanny McPee」で、コリン・ファースと共演するんですよぉ〜。はぁはぁ。ファースといえば、「僕のプレミア・ライフ」(ヨロシク!)で校長先生をやってた人が、大臣役です。

ええと、そうそう。会話の妙。レイキャビクに誘われたジーナが、「私がアイスランドで知っていることといったら、ビョークの出身地だっていうことぐらい」というと、ビョークって誰?なローレンスは、「僕が知ってるのは、ボビー・フィッシャーが最後にチェス勝負をしたところぐらい」と返します。そして、ボビー・フィッシャーって誰? なジーナが、「きっとアイスランドって、みんながひとつだけ情報を持ってるところなのね」と言って締めます。それから、ローレンスが見た夢の話をするのですが、ローリング・ストーンズのメンバーが、寄ってたかって彼を一員に加えようとしつこく誘うんだそうです。ビル・ナイが、いつもの独特な調子で、ひょろ長い手足を振り回しててれくさそうに話すのが、おかしくておかしくて。

雨のロンドンにはじまり、どんより雲のレイキャビクで幕を閉じる本作。最後に、「本当のG8はスコットランドで行われた」とテロップが出て、終わります。晴れ間はいつになったら見えるのでしょうか。

「The Girl in The Cafe」公式サイト(英語)

ぢゃ、また。
(August 15, 2005)

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