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■記者会見開場にて

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■記者会見開場にて

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■ポスター

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■場面写真

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■場面写真

- アニメーションから芸術性、その可能性を感じた -

 日本ではイ・ビョンホン、アン・ソンギの声優での参加が大きな話題となっている韓国発の長編アニメーション作品『マリといた夏』のイ・ソンガン監督が日本での公開直前に急遽来日し、共同記者会見が行われた(8月3日 東京・韓国文化院)。以下にその会見の模様を掲載。

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質問:日本で『マリといた夏』が劇場公開されることになった今のお気持ちをお聞かせください。

監督:とても気持ちいいです。嬉しく思っています。

質問:企画からどのくらいの期間がかかりましたか?また、予算はどのくらいかかりましたか。

監督:企画から終わりまで3年くらいかかりました。予算は30億ウォン、日本円で約3億円くらいかかりました。

質問:声優として、イ・ビョンホンさんやアン・ソンギさんなどの俳優をキャスティングしたのはなぜですか。

監督:声優さんのキャスティングに関してはいくつかの案がありました。そうした声優案の中で、今回の案が一番この作品に合っている、役者さんたちの声や役者としてのイメージがこの作品にふさわしいと思ったのです。

質問:監督のプロフィールを見ると心理学科を卒業されていますが、アニメーション作家を志したきっかけは何だったでしょうか。また日本のアニメーション作家や作品の中でお好きだったり影響を受けたものがあれば教えて下さい。

監督:大学で心理学を勉強したことはすでに遠い昔のことなので、それがアニメーション作家として役立っているのかということは分かりません。確かに大学では心理学に興味を持っていたのですが、大学を卒業後は画家として8年間程活動していました。そのうちヨーロッパの芸術短編アニメーションに出逢い、それがきっかけとなりアニメーションに興味を持ち、アニメーション作家を志すようになりました。

日本のアニメーションは韓国でもたくさん紹介されていますが、スタジオ・ジブリの作品には多くの影響を受けています。

質問:現在、韓国国内のアニメーション製作はどのような状況なのでしょうか。

監督:現在、韓国ではアニメーション映画より実写映画の方が多く作られています。日本ではアニメーションは大衆的な文化になっていますが、韓国では子供の文化にしかなっていないんですね。だから、アニメーション映画は指で数えられるくらいしか製作されていない状況で、大ヒット作もありません。制作全般に関しては詳しくは知りませんが、私自身の記憶では70年代までは韓国でも割と多くの自国のアニメが制作されていたと思います。その後、国が政策として経済的な成長を優先したことから、自国制作のアニメーションの収益が合わなくなり、日本のアニメーションの下請けとなった、その結果、80年代に長編アニメ制作が全くできなかったという経済的な理由もあります。しかし90年代以降は短編アニメーションの制作が盛んになっており、若手を中心に良質な短編アニメーションが多く作られ、そこには大きな可能性を感じます。

質問:ヨーロッパのどのようなアニメーションが印象的だったのでしょうか。

監督:多くの作家がいますが、その中でも特に記憶に残っているのはロシアの作家 ユーリー・ノルシュテインの作品です。

質問:それらの作家の作品からの影響は今もありますか。

監督:もちろん影響はあります。アニメーションを志す前に、私は美術をやっていたのですが、そういした美術の芸術性に悩み、行き詰まっていたときに、そういったアニメーションから芸術性、その可能性を感じたというのが一番大きな影響だと思います。それがユーリー・ノルシュテインなどのアニメーションだったのです。その当時、それらの作品は韓国で正式に上映するのは難しいと言われてました。その理由は商業的に勝算がないからでした。そのため、学校でアニメを習った学生たちなどに海賊版が流通していたのです。作品はそれから何年かしてやっと正式に観ることが出来ました。

もちろん、それ以前にもはアニメーションとは接していたのですが、キャラクターを重視し、それを商品にして金儲けをするという商業的な意味合いが強かったために個人的にはなじめませんでした。ただ、ユーリー・ノルシュテインのような芸術的なアニメーション作品を(海賊版で)観ることが出来、そういったアニメーションを自分の芸術として作り上げられる可能性を感じていますし、そういった作品も増えていると思います。

質問:この作品はノスタルジックで、切ない雰囲気に満ちていますが、インスピレーションはどのように得たのでしょうか。

監督:多くの監督が作品を作るときに、家族に見せたいとか子供たちに特に観てもらいたいとか、ある種の目的を持っているようですが、私の場合はこの作品を自分自身に見せる映画にしたかったのです。私自身40歳代の疲れているひとりとして、私のような疲れた、行き詰った精神を持っている同世代の人たちに観てもらいたいと思いました。言ってみれば精神的な自画像としての作品です。

質問:アニメーションは子供のものという風潮のある韓国で、あえてこのアニメーションの映画として作られた理由を教えてください。

監督:私の場合アニメを始めた理由そのものが、それまでやっていた美術の延長線にあるものです。だから、子供たちに見せたいとか、特定の対象を選定するより、美術の延長としての、私自身のための作業の一環だと思っていました。それで必然的にこの作品は私と等身大の人たちに向けた大人のためのアニメーションになったわけなんです。それはごく自然な流れだったと思います。

質問:大人に向けてのアニメーション映画となると、宣伝などは結構大変だったのではありませんか。

監督:この作品の韓国でのマーケティング戦略はターゲットをアート系、ミニシアター系の作品を好む20代の人々に当てました私自身は30代以上に向けた戦略にしたかったんです。しかし実際劇場に足を運んでこの映画を観てくれた人たちはみんな中学生以下だっという、そういうズレがありました。

質問:製作に関する苦労話や俳優さんたちのエピソード、ここがすごく好きといういうシーンを教えてください。

監督:まずは制作期間があまりにも長くて退屈でした(笑)。そういう大きな問題がありました。また、アニメーションを正式に最初から学んでいない私は、独自ともいえる制作システムを作らなければならなかったんです。それは今まで製作してきた短編アニメーション映画のシステムを無理やり長編作品にも当てはめたので、例えば見習いの学生たちを現場に連れて行ってそのまま仕事をさせたりしました。それが幸いにも既存のアニメとは違う味わいを生み出したという部分もあります。

作品の中で特に好きなのはお風呂場のシーンです。田舎のお風呂場で子供たちが遊んでいるというシーンなのですが、今はこういう大衆風呂(銭湯)がなくなってきているそうです。私自身、子供の頃、大衆風呂でああいうふざけた遊びをしていたので、3回のうち1回は追い出されたという思い出があります。それが一番好きなシーンです。この大衆風呂のシーンでは18歳未満は観覧禁止にならないようにかなり神経も使いました。

面白いエピソードは特にありません。なぜかというと作品の初期段階から声優さんたちに対してお話が行ったのではなく、制作も終わった後、時間もない中で数あるプランの中から選ばれたものだからです。本当に時間も余裕のない状態で、皆とても一生懸命にやってくれたので、誠実な方々だと思いました。また、このキャスティング
も作品のキャラクターにぴったり合っていたと思います。

質問:アン・ソンギさんとイ・ビョンホンさんのというのは監督から見てどんな感じだったでしょうか?

監督:役者の中には自分がいったい何を演じているのかのすら分からないような、そんな状況になってしまう役者、自分がどのように見られているかも分からなくなってしまう役者もいると思います。アン・ソンギさんとイ・ビョンホンさんの場合はそういうことはなく、今自分がどのような状況にいて、どのような演技をすればいいのかを的確に掴んでくれました。こちらがいいと思っても、自らもう一度やりたいという場合もありました。

質問:実写も撮影されている監督としては、今後、どのような映画を撮っていきたいですか。

監督:率直に申し上げますと監督という仕事ほど不安な仕事はないだろうと感じています。周りの人たちを見て、監督業を続けていけるということはとても困難なことでではないかと思っています。そして監督として何かに打ち込む、自分の作品を製作できるというのは幸せなことだと思います。

アニメーションの場合、自分が想像した世界を制限なく表現していける強みがあります。実写では人の内面だとか深い内面だとかを表現していける強みがあります。私にとって映画とはこのアニメーションと実写のふたつのそれぞれが持つ強みを表現していくことだと考えています。

質問:最後に日本の観客にメッセージをお願いします。

監督:この映画を観て、幸せになって欲しいです。

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