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■記者会見開場にて

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“ロマンティック・コメディでも2人の恋愛物語だけを描くのは好きではない”

 7月23日から日本でも公開される韓国で520万人が笑い、涙したロマンティック・コメディ『大変な結婚』のチョン・フンスン監督が来日し、インタビューを行うことができた。前日に7件もの取材を受け、クタクタになり、一般試写会での舞台挨拶も予定されているこの日はつい寝坊してしまったという監督だが、繰り返しになったであろう質問にも終始丁寧に答えてくれた。以下にそのインタビューを掲載。

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●『大変な結婚』について

質問:『大変な結婚』をすごく楽しみました。人情ロマンチックコメディ的なノリがあって本当に楽しい作品ですね。脚本も監督がお書きになっていますが、アイデアはどこから思いついたのでしょうか?

監督:一番最初の出発点というのは、このポスター(※チラシの画像を参照)にもあるように見知らぬ男女がある日の朝、同じベッドで目を覚ます、というシチュエーションが思い浮かんだ時でした。そこからこの映画のアイデアがスタートしました。

質問:それは監督自身の体験ですか?

監督:違います(笑)。男女ではなくて男同士でというのならあります。飲み会に行ってゴチャゴチャになって一緒に飲んで目を覚ましたら隣のベッドで見知らぬ男が寝ていたというのはありました(笑)。こういう経験がありましたので他人事じゃないなと思っています。

質問:その出発点からストーリーを膨らませていったのですか?

監督:主役の男女の家族関係であるとか、彼らの生きてきた背景、どういう人生を歩んできたんだろうかという想像をどんどん発展させてひとつのストーリーにしていきました。

質問:キャラクター造形やその関係がすごくよくできていて、そこがこの作品の最大の魅力だと感じます。特にヤクザの一家が面白かったのですけれども、あれはどのように思いついたのでしょうか。

監督:ヤクザ一家に関しては、たぶん我々が一般的に持っているヤクザのイメージがあると思います。そのイメージを家族の中のお父さんから想像し、発展させ、家族関係に分け与えていくことで作り上げていきました。

質問:彼らの田舎臭さ、下世話さもものすごく面白いですよね。私は韓国語が分からないので分かればもっとその部分で笑えただろうなと思います。

監督: 映画の中でヤクザ一家が使っている言葉は、韓国でも方言に当たるものです。私の映画はこの映画に限らず、そうしたサブキャラクターの造形と演出に力を入れています。だからロマンティック・コメディと言っても主人公2人の恋愛物語だけを描くというのはあまり好きではありません。

質問:主役の2人は今では人気の若手俳優ですが、撮影当事はもっと若く、今ほど売れっ子ではなかったと思います。この2人を起用した理由というのは何ですか?

監督:キム・ジョンウンさんの演じる役柄に必要な部分というのが純粋でコミカルだという性格でした。当時、彼女はCMを中心に活躍していたのですが、ちょうどCMの中でもそういうキャラクターを演じていました。私は彼女ならこの役柄にぴったりだというふうに思い、キャスティングしました。
  チョン・ジュノさんはこの映画に出る以前は基本的に助演、しかも悪役が中心だったのですが、この映画のクランクインの前に『マイ・ボス・マイ・ヒーロー』という映画でコミカルな一面を見せてくれて、この映画でもそうしたコミカルな面を活かしていけるんじゃないかというところからキャスティングしました。

質問:キム・ジョンウンさんのCMというのはどんなものだったのですか?

監督:彼女は当時、本当にすごくたくさんのCMに出ていたので、具体的にどれというのは忘れてしまったのですが、今思い出すのはクレジット・カードのCMに出ていて、それには「みんなお金持ちになって下さい」というコピーがついていたんですね。そのコピーが韓国で大流行しました。。あと、チャ・テヒョンさん(『猟奇的な彼女』)と携帯のCMなんかでコンビを組んでやっていたのも面白かったですね。

質問:撮影現場の雰囲気、特にキム・ジョンウンさんはアドリブがうまいという話を聞いているのですが、そのあたりのエピソードがいくつかあれば教えて下さい。

監督:キム・ジョンウンさんのエピソードでは、エレベーターでヘビが出てくるシーンがありますね。あのシーンは本物のヘビを使っているのですが、男性のスタッフでさえ怖がって扱うのに苦労していたのに、キム・ジョンウンさんは全然怖がらずに素手でつかんで色々とやってくれました。みんな驚きましたし、そうした反応も含め、とても面白かったですね。その撮影自体はとても楽しかったのですが、生き物相手ゆえにNGもたくさん出ました。それが原因でくたびれたのか、ヘビは撮影後にお亡くなりになりました(笑)。
  アドリブということに関して言いますと、正確な意味でのアドリブということではなかったのですが、台本の中にあるものを基本的にもうちょっと膨らませてという部分ではすごく色々とやってくれました。例えば、今思いつくのはですね、キム・ジョンウンさんがチョン・ジュノさんの恋人呼び出し、レストランで言い合いになるシーンがあります。そのシーンで彼女が瓶や棒を持ち、すごく荒っぽい言動をする部分は彼女がよりノリと面白みを出そうとドラマ性を発揮してくれた部分です。

質問:チョン・ジュノさんのエピソードは何かありますか?

監督:チョン・ジュノさんの場合、今思い浮かぶのはですね、ヤクザ一家の3兄弟が初めてチョン・ジュノさんに会いにやって来るという屋上のシーンがあります。実はあのシーンが3兄弟を演じる役者とチョン・ジュノさんの初対面の日だったのです。初対面でいきなり殴られ蹴られで、スリ傷とか痣とかができるほどの怪我までしてたんで、それがすごく印象に残っています。
  それ以外にも屋上からつるされるシーンがあります。あのシーンはチョン・ジュノさんが自分でやるって言い張って、その予定でいたんですね。高さは20メートルくらいあったんですが、チョン・ジュノさんは上から下を見下ろした途端に「無理です」と言って(笑)、結局スタントを使いました。また、飲み屋で飲んだくれ、踊ったりしているシーンは彼の私生活なのかは分かりませんが(笑)、そういった流れでしょう、彼が色々と作り込みながら演じてくれました。彼があそこで踊っている踊りはパク・チョフンさんという韓国では有名なコメディ俳優が昔得意にしていた踊りなんです。彼がどこからその踊りを学んできたのか分からないのですけれども、そういう部分まで入れ込んで演じてくれましたね。

質問:撮影中苦労した点はありますか?

監督:思い出すは、ヤクザ一家のお父さんの昔を回想するシーン、伝説の乱闘シーンです。実はあれがクランクイン初日のシーンだったんです。初日であのシーンだったので、色々と悩みながら苦労して撮影をしました。特に撮影は春だったのですが、冬のシーンだったのでセットや衣装などに冬の感じが出るように作りこんでいくのが大変でした。

質問:これは日本で公開される韓国映画に対する私自身の印象でしかないかもしれないのですが、韓国映画にはロマンティック・コメディがものすごく多いと感じられます。監督自身、それはどういう理由だと考えられますか?

監督:確かに韓国映画ではロマンチック・コメディが主流なのですが、実際年間で製作されている本数からみるとその割合は30%から40%弱くらいなんですね。韓国の人の情緒的な部分が、ロマンティック・コメディを好み、そうしたことからヒットする作品がいくつか出てきているのでそういう印象が与えられているのではと思います。

●デビュー作『懸賞手配』(日本未公開)のことなど

質問:映画監督になりたいと思ったきっかけは何ですか?

監督:小学生の頃から映画は大好きで、週末になると必ず観に行っていました。そうした自然な流れからいつしか映画監督になりたいなと思い始めました。その後、ソウル技術大学というところで映画を選択して学びました。

質問:日本では公開されていないと思うのですが、監督のデビュー作の『懸賞手配』について、お聞かせください。

監督:映画の内容自体を手短に説明すると、オーストラリアに演技の勉強のために留学している韓国の留学生が、やはりオーストラリアにいるチャイニーズ系のマフィアのある人物と瓜二つで、たまたまTVの再現ドラマに役者として出演していたことから、マフィアと間違えられえて警察に追いかけられて捕まり、そこでチャイニーズ系のオーストラリアの婦警さんと恋をしたりするというものです。アクション、あっちに転びこっちに転びのコメディ的要素も多い作品になっています。

質問:それはぜひ観てみたいですね。

監督:なぜ日本に出ていないんですかね(笑)。

質問:この『懸賞手配』の製作にはものすごく時間がかかった、苦労したという話を聞いているのですけれども、それは例えば資金が集まらなかったなどということですか?

監督:『懸賞手配』はシナリオの評価がすごく高く、資金も充分に集まっていました。この作品はニューヨークで撮影されるはずだったのですが、主演の俳優がその当事、大麻で逮捕されてしまいました。その影響でアメリカ入国のビザが発行されなくなり、次の行動に移るまで2年間ほど宙ぶらりんとなったです。その後、オーストラリア(シドニー)はビザがいらないということを知り、ロケーションをシドニーに変え、撮影に入りました。実はこの『大変な結婚』を撮る時も“この作品の誰かが麻薬に関連しているらしい”という噂が流れてちょっと危なかったんです(笑)。誰も逮捕されることはなかったのですが。その時は本当に「何でこんなんばっかりなんだ!」という気分になり、映画の主役はみんなドーピングテストをした方がいいんじゃないか!という話をしていました(笑)。

質問:そんなトラブル続きで映画監督を辞めたいと思いませんでしたか?

監督:どちらかというと「みんなを撃ち殺したかった」という感じですね(笑)。

質問:『懸賞手配』の韓国での評価はどうだったのですか?

監督:当事の韓国の経済は国際通貨基金の救済を受けるなど深刻な状況にありました。だから『懸賞手配』は台詞の90%以上を英語にするなど最初から海外のマーケットをターゲットに作っていました。実際、その狙い通りに海外のマーケットでは結構いい評価を獲得しました。ただ韓国内ではそこそこという結果に終わりました。

質問:そして第2作目の『大変な結婚』が大ヒットしたんですね。

監督:『懸賞手配』から『大変な結婚』まで5年間。5年かけてやっと大ヒットさせることができました。

質問:正直「それみたことか!」という気分でしたか?

監督:確かにそういう気分もありました(笑い)。でもそれ以上にその5年間、ちゃんと自分の材料を持ち続け、シナリオを書き続け、5年ぶりに映画を撮ってそれが幸いにもヒットしたということは自分の名誉回復じゃないですけれども、そういうプライド的なものを持つことができました。

質問:最新作の『招待』は現在撮影なさっているのですか?

監督:製作自体は始まっていたのですが、ちょっと遅れております。

質問:全ての作品が遅れてしまいますね。

監督:それが私の人生です(笑)。

質問:『招待』はどんな作品なのですか?

監督:ミステリーです。簡単に言うと、7年間精神病院に閉じ込められていたヒロインが自分を捨てた父親に復讐をしにいくという作品です。

質問:すべての作品ともタイプの違う作品ですね。

監督:少しずつは違いますね。

質問:それは自分の中の欲として新しいものをやっていきたいということですか?

監督:いろんなジャンルの映画を自分作りたいという気持ちはあります。ロマンティック・コメディもありましたけれども、ミステリーも作りたいし、アクションも作りたいですし、スパイものも作ってみたいですし、活劇も作ってみたいですし、これからそういうことに徐々に全力をぶつけて行きたいと思っています。

質問:楽しみにしております。最後に2つに質問があるのですけれども監督がお薦めする自分の作品以外の韓国映画3本とその理由もお願いします。それと今までの人生の中で影響を受けた映画3本あげてください。難しければ、3本でなくてもかまいません。

監督:とても難しい質問ですね。韓国映画ですと『殺人の追憶』。ここ最近で観た映画でこれがベストですね。
  2つ目の質問の影響を受けた作品ですが、ウィリアム・ワイラー監督が一番です。『ローマの休日』のようなラブストーリー、『コレクター』みたいなサスペンス、『ベンハー』のようなスペクタクルという、いろいろなジャンルのものを完璧に作れるという部分でも尊敬をしています。ヒッチコック監督も本当に大好きです。ミステリの大家ですから影響も受けました。また、映画を勉強し始めてからはコーエン兄弟監督がすごく好きです。『ファーゴ』とかは本当に素晴らしいですね。

質問:『大変な結婚』も40〜50年代ハリウッドコメディものとどこか通じるものがあるなと感じました。

監督:まぁどこかに入っているんじゃないでしょうかね(笑)。

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来日して早々、昨日、今日と取材が続き、明日は一日中オフなので観光が出来ると語っていたお疲れ気味のチョン・フンスン監督(その翌日にはもう帰国だ)。様々なスタイルの作品にトライしたいと語る監督の現在、製作中の新作『招待』(7年間精神病院に閉じ込められていたヒロインが自分を捨てた父親に復讐をしに行くというミステリー)の完成&公開も楽しみだ。そして『大変な結婚』もぜひ、劇場でお楽しみください。

作品詳細へ

『大変な結婚』は7月23日より銀座シネパトス、池袋シネマロサ(レイトショー&限定モーニングショー )にて公開(地方での公開も決定しています)。詳しくはオフィシャルサイト http://www.taihen-wedding.com/ で。

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