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■電気羊プロフィール
アニメーター、編集者を経て現在はフリーライター兼翻訳者のハシクレをしている。好きな映画は「ブレードランナー」、好きな役者はコリン・ファースと嵐寛寿郎。だんなについて、目下カリフォルニア州サンタクルーズに滞在中。せっかくなんで、コミュニティ・カレッジに通いつつ、映画三昧している。この度3年越しの夢が叶い、コリン・ファース主演作「フィーバー・ピッチ」で字幕翻訳家デビュー! 趣味はスキューバダイビングとビリヤード(どっちも超ヘタ)。日本から連れてきた耳垂れウサギを飼っている。


■過去記事一覧



写真01
スカイキャプテン』ポスターその1

写真02
『スカイキャプテン』ポスターその2

写真03
イギリス製、ゾンビ物のパロディ映画"Shaun of the Dead"

写真04
ワンダーコンでのケリー・コンラン監督(右)とプロデューサーのジョン・アヴネット

 カリフォルニアはサンタクルーズから、毎月最新ホヤホヤの映画情報をお届けする「もぎたて映画通信」。第7回も『スカイキャプテン』"Shaun of the Dead"他、気になる映画たちをご紹介!

☆『オープンウォーター』"Open Water"

  今年の初めにティーザーを観て以来、楽しみにしていた1作です。5月にサンフランシスコで開かれたワンダーコン(コミック・コンベンション)でも、雑誌「CFQ」の編集者が「『ブレアウィッチ』級に大化けするかもしれない低予算インディペンデント映画」と紹介してました。

  カリブ海へ休暇を過ごしに来たカップルが、ボートダイブに参加して海底散歩をたっぷり楽しんで水面に出てみると、ボートは影も形もない。2人は平静を保ってボートが戻るのを待つが、いくら待ってもボートが現れる気配はない。そのうち疲労が溜まれば不安も募り、オマケにここは鮫が出没する海域だった──!

  無名の俳優と、特撮に頼らない撮影で、アイディア勝負、演出勝負の作りが題材とマッチして、すんごく恐ろしい出来になってます。ジワジワジワジワッ、と恐怖が続き、時折ギョッとする一瞬が差し挟まれて、怖いの何の。カップルが知的で好感持てる人たちで、海の上で交わされる会話もとてもリアリスティック(夫がちょっとトリビア男です)。実際、あんな状況になったら普通の人間に出来ることはなにもないでしょう。映画の大半が二人が洋上を漂ってる場面なので、ちょっと気持ち悪くなってしまうところも、手持ちカメラでやっぱり画面がぐらぐらしていた『ブレアウィッチ』を思わせます。撮影はデジタルカメラですが、海が驚くほどいろんな表情で捉えられています。

  ダイバーの中に、潜った早々耳抜きが出来ずに上がって来ちゃうアジア系の女性がいて、とても親近感を覚えました(^_^;)。おかげでこの映画の主役のような目にあう心配もなくてすみ、ヘボダイバーで良かったワ(!?)

  『ロイヤル・テネンバウム家』のウェス・アンダーソン監督の新作"The Life Aquatic with Steve Zissou"の予告編が流れてました。ビル・マーレイが海洋学者の役で、今度のもすごくヘンテコで面白そうです。

★"Open Water"公式HP(英語版)

☆"Garden State"

  「Scrub」という人気シットコムの主役、ザック・ブラフが脚本・監督・主演をこなした青春コメディです。「Scrub」は、病院を舞台にしたオフビートなコメディで、主人公の独白が差し挟まれる「タイタス」(ってご知じですか?)に雰囲気が似てます。批評家の評価も高いのですが、わたしは斜に構えたギャグセンスが、どうも好きになれなくて見てません。  ロスでウエイター&俳優生活を送る、人格乖離ぎみの青年ラージが、母の葬式のために故郷のニュージャージーに戻り、旧友と親交を暖めたり、ガールフレンドを見つけたりすることで、しまい込んでいた感情を取り戻すまでを、ファニー・タッチに描きます。

 飛行機にトラブルが起きて、乗客はみんなパニック状態になるのに、ラージ1人ボーッと座ったまま、というオープニング(ラージの夢)で、彼が無感動な体質なのがパッと分かって、つかみはOKです。ラージの出会う、「痙攣の発作のような」虚言癖があるけど、底抜けにチャーミングな女の子をナタリー・ポートマンが演じていて、泣いたり笑ったりする表情が、むちゃむちゃ自然で無防備で、素晴らしいです。だって『レオン』の女の子だもんね。動物好きで、ハムスターの通る管が所狭しと張りめぐらされた楽しい家に住んでます。墓堀りのバイトをして、死体から貴重品をくすねる旧友マーク役で、『ニュースの天才』のピーター・サーズガードが共演しています。

 自分探しのフェーズなど、とっくに卒業した年代をも引きこむほどの力はないけれど、フィルムの中に、これだけ本物の感情を込められるのも、作り手の若さゆえでしょう。この映画を否定するのは、かつては自分もそんな時代を通ってきた事実を否定するようで、抵抗あります。映像センスもいい感じ。

★"Garden State"公式HP(英語版)

☆『スカイキャプテン ワールド・オブ・トゥモロー』SKY CAPTAIN AND THE WORLD OF TOMORROW

 無名の映画科学生が、自宅のMaCでコツコツ作った6分のCG映像を目にしたプロデューサーのジョン・アヴネットが、その若者ケリー・コンランを初監督に抜擢し、ハリウッド大作に仕立て上げさせたSFアドベンチャー。役者以外、背景や小道具はフルCGというのが最大の話題で、プロデューサーには、ジュード・ロウと、元妻セイディ・フロストの名前も見えます(製作中に別れちゃったのね)。

 第二次大戦前夜、1939年。世界でトップクラスの科学者達が、何者かに次々に誘拐される。ニューヨークの新聞記者ポリーは事件を探るうち、忽然と現れて街中を破壊し始めた巨大ロボットの群と、誘拐事件との関連性に気づき、エースパイロットのスカイキャプテンとともに事件の真相究明に乗り出すのだった──。

 時代設定に合わせ、ストーリーも、出てくるメカや美術のフォルムもとってもレトロ。全編、青っぽく滲んだ色遣いとやわらかいライティングが施され、CGと生身の人間が違和感なく溶けこんでいます。まるで、フライシャーの『スーパーマン』や、『アイアン・ジャイアント』のロボットがそのままCGになった感じ。丸々したフォルムのメカは、石森章太郎っぽくもあります。ジュード・ロウ扮する飛行機乗りとグウィネス・パルトロウ(『リプリー』コンビ!)扮する鼻っ柱の強い新聞記者は、スペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘップバーン路線を狙ってるんだと思いますが、やはりフライシャーが元ネタの「さらば愛しきルパンよ」のルパンと不二子ちゃんみたいです。セリフがとてもクレバーで、キャラが立ってるので、いつしか人間以外は全てCGであることを忘れ、映画に入りこめました。ただ、確かにお腹一杯満足して劇場を出られたのですが、スタイリッシュでレトロフューチャーなCGと、手に汗握って夢中になれるスケールの大きな冒険映画を堪能したかったのに、満足したのは主役2人のCGに負けない美しさと、彼らの愉快な掛け合い漫才のせい、というのは、肩すかし感が否めません。豪華フレンチを食べるはずが、ハンバーガーでお腹いっぱいになっちゃった、みたいな。脳内エンドルフィン分泌度でいえば、やはりレトロSF物の『スチームボーイ』の方に軍配をあげさせてもらいます。

 ところで、ローレンス・オリビエがマッド・サイエンティスト役で出ています。死んだはずだよオリビエさん。

 5月にワンダーコンに行ったとき、アヴネットとコンランの会見は見たのですが、ジュード・ロウも来ていたなんて知りませんでした! せっかくの生ジューに会えるチャンスが…(T_T)。

★"SKY CAPTAIN"公式HP(英語版)

☆"Vanity Fair"

 コリンと共演した"The Importance of Being Earnest"に続き、リース・ウェザースプーンがイギリス文学に再度挑戦。サッカリーの原作「虚栄の市」は読んでませんが、『モンスーン・ウェディング』のインド人女性監督ミーラー・ナーイルによるこの映画版では、原作の持つ毒気がかなり薄められているようで、口当たりよく鑑賞できます。この方向修正は、たぶん欲望丸出しの、マニピュレイティブなヤツだったであろう主人公ベッキーを、自分の才覚だけを頼りに、己に正直に世の中を渡っていこうとする、現代的な女性にしたところから来ています。でもあの時代(今もだけど)、いくら世渡り上手でも、身分も富もないただの娘っ子にはどうにもならない社会の壁があって、それを体現するような、ベッキーより1枚も2枚も上手の嫌なヤツもたくさん出てくるし、退屈しません。

 最初の方、結婚相手に狙いをつけた太っちょの男(親友の兄)から、色鮮やかなオウムをもらう場面と、最後のインド象もビックリな、マサラ的フィナーレの躍動感が素晴らしかったです。『眺めのいい部屋』と同じく、ベッキーも異国の地で幸せを掴むのね。ベッキーの親友で、対照的に清楚で受け身の女性アメリアを演じるのは、ひいきのロモラ・ガライちゃん。ほかに、ジョナサン・リース・マイヤーズ、ジム・ブロードベンド、リス・エヴァンス、ガブリエル・バーンなどが出演。リス・エヴァンスは、アマンダを慕う誠実な軍人の役で、『ノッティング・ヒル』のちゃらんぽらん男とエライ違いでビックリ。

★"Vanity Fair"公式HP(英語版)

☆"Shaun of the Dead"

 イギリス製、ゾンビ物のパロディ映画(タイトルの"Shaun of the Dead"は"Dawn of the Dead(『ゾンビ』"のもじり)です。

 ショーンはロンドンの郊外に住む、電気店のしがないセールスマン。ガールフレンドは、ショーンがいつもルームメイトのだらしないエドとつるんでグータラしてるのが不満で、とうとう三行半をたたきつける。ショーンはエドと行きつけのバー「ウィンチェスター」でヤケ酒し、自宅に戻るとそのまま酔いつぶれてしまう。1夜明けると、通りはゾンビたちがさまよっていた──。

 ショーンの周囲は、ゾンビが現れる前からゾンビと大差ない人たちでいっぱいです。バスの乗客はみんなゾンビそこのけに生気のない顔で押し黙って座ってるし、電気店の若い店員たちは皆一様にガムをクチャクチャ噛んで、ボーッと突っ立ってます。そんな人たちに紛れてポツポツと、本当のゾンビが現れはじめても誰も気がつきません。まして二日酔いの頭と傷心を抱えたショーンの目には、通りをでんでん虫並の速度でうろつくゾンビも、庭先に倒れている頭のもげた死体も、ガラスドアに残る血染めの手形も入ってきません(このへん現代社会への風刺を読み取りたい人は読み取ってください)。TVのニュースでは、ゾンビ現象についてレポートしてるのですが、あんまり回りくどい表現に(「”Z”のつく語は恥ずかしいから口に出すな!」と、後にショーンも言ってます。この辺にイギリス人気質を読み取りたい人は<以下略>)しびれを切らしてチャンネルを回してしまいます。自宅の庭にゾンビ少女が迷いこむと、酔っぱらいと勘違いしたショーンとエドが追い出そうとしたら首にくらいつかれ、突き飛ばした拍子に体が杭に突き刺さっても、まだ起きあがるのを見て、やっと鈍い2人も事態に気がつきます。TVのニュースを見直して、頭を切り落とすか脳ミソをつぶせと教えられた2人の選んだ武器はLPレコードで、ブーメランよろしく投げつけます(ただし『バットマン』のサントラはいいけど「パープルレイン」はダメ)。そんな何とも頼りない2人に、時間が経つごとに増えていくゾンビたちの牛歩攻撃をかわし、母親や彼女を助け出して「ウィンチェスター」に逃げ込み、「事が収まるまで一杯やりながら過ごす」ことができるのか!?

 監督、脚本のサイモン・ペッグとウェイン・ライトは、"Spaced"というコメディ番組で人気を博したコンビだそうです。ショーンの養父役ビル・ナイは、登場シーンから笑いを取ってました。"The Office"のルーシー・デイヴィス、マーティン・フリーマンも出てます。

 「事が収まった」後の、生き残り(?)ゾンビたちの処理の仕方が、またブラックで笑えます。ショーンとエドの部屋のテレビに、なぜかひらがなで「みじめ」と書いてあるのが哀愁を誘います。

★"Shaun of the Dead"公式HP(英語版)

 はじめて字幕を担当した『ぼくのプレミア・ライフ FEVER PITCH』DVD、チラシは見つけられましたか!? いよいよ10月20日発売です。ジャケットは、稲本選手の推薦コメントステッカーが目印だよ! アーセナルサポーターのスポーツコメンテイター、西岡明彦氏による音声解説もついて、ナント3,390円! さあ急いで予約だ!?

★『ぼくのプレミア・ライフ』Fever Pitch 日本語プロモページ

ぢゃ、また来月。
(Sep 27 2004)
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