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■電気羊プロフィール
アニメーター、編集者を経て現在はフリーライター兼翻訳者のハシクレをしている。好きな映画は「ブレードランナー」、好きな役者はコリン・ファースと嵐寛寿郎。だんなについて、目下カリフォルニア州サンタクルーズに滞在中。せっかくなんで、コミュニティ・カレッジに通いつつ、映画三昧している。コリン・ファース主演作「フィーバー・ピッチ」で字幕翻訳家デビューを飾るのが夢。趣味はスキューバダイビングとビリヤード(どっちも超ヘタ)。日本から連れてきた耳垂れウサギを飼っている。

■過去記事一覧




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サンタクルーズ映画祭

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サンタクルーズ映画祭2

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サンタクルーズ映画祭2
☆サンタクルーズ映画祭

☆サンタクルーズ映画祭 The Santa Cruz Film Festival

5月13日から21日まで、第3回サンタクルーズ映画祭をやっていました。まだ3回目だし、国際都市サンフランシスコやシリコンバレー・サンノゼの映画祭に比べると地味ですが、今年は「アーティスト」をテーマに、オープニングはニール・ヤングを招いて彼の監督作"Greendale"、クロージングには元ドアーズ、レイ・マンザレクの初監督作"Love Her Madly"が上映されました。マンザレクは、UCサンタクルーズ校で映画製作を学んだそうで、上映後のパフォーマンスもありました。そのほか、ジョディ・フォスターやティルダ・スウィントンら、インデペンド映画界の女性たちにスポットを当てた"In the Company of Women"、コッポラ一族でニコラス・ケイジの兄弟、クリストファー・コッポラの新作ホラー"The Creature from the Sunny Side Up Trailer Park"、児童虐待テーマの問題作"The Empty Building"など、食指の動く作品がたくさんありましたが、あんまり時間が割けなくて、毎回楽しみにしている地元のアーティストによる作品を集めた回と、実験映画&アニメーション特集の回だけ、なんとか観れました。その中では、サンフランシスコのストリート・パフォーマーを主人公にしたモックメンタリーの"Like Statues Like God"(主人公が、通行人が自分をどんな眼でみるかという印象を語ったセリフから取られたタイトル)、登場人物3人によるユーモラスな心理サスペンス"Whatever It Takes"、UCSC映画科のルーキー、キャム・アーチャーによるリバー・フェニックスの死を検証した"American Fame PT. 1:"が印象的でした。国際色という点では第一回から後退しているし、作品のラインナップも粒ぞろいというわけにはいかず、運営にも不手際がまま目立ちましたが、「石を投げれば映画脚本家に当たる」(ジェーン・サリヴァン、映画祭ディレクター)というご当地色を生かし、将来的に「西のカンヌ」と呼ばれるように頑張りたいと、志だけはカリフォルニアの青い空よりも高い、サンタ映画祭でありました。

サンタクルーズ映画祭公式ページ

☆『ヴァン・ヘルシング』Van Helsing

 夏の大作群の中で、先陣を切って公開されたSFホラー話題作。監督は、『マミー』のスティーブン・ソマーズです。

 ヒュー・ジャックマン扮するヴァン・ヘルシングのヴィジュアルが、『ヴァンパイア・ハンターD』そっくり。だからといって、映画のテイストは流行のコミック調というわけではなく、往年のユニバーサル怪奇映画に触発されてるのが分かるのは、根っから映画小僧って感じのソマーズらしいです。

 トランシルバニアの古城で、映画は幕を開ける。塔の中ではフランケンシュタイン博士(すっかりふくよかになってしまったサミュエル・ウェスト)が死体に生命を与える実験をしていた。博士に実験を命じていた城の主、ドラキュラ伯爵は、成功を見届けると博士を殺してしまう。城には怒り狂った民衆が押し寄せ、怪物は博士をかかえて「ホワイ1?」と叫びながら風車小屋ごと火に巻かれる。ドラキュラは3人の花嫁とともにいずこかへ飛び去る。
 ところ変わってヴァチカンでは、ロンドンで“ジキルとハイド”を退治したばかりのヴァン・ヘルシングが新たな密命を下される。ヘルシングは法王庁のお抱えハンターだったのだ。次の獲物、ドラキュラのいるトランシルバニアへ馬を走らせるヘルシング−−。

 このあたりまで、すごくいい感じです。風車小屋のシークエンスはジェームズ・ホエール監督のフランケン映画へのリスペクトを感じるし、法王庁の地下には007の兵器製造機関みたいのがあって、修道士やラマ僧が、奇天烈な飛び道具やら爆弾やらを作ってて、この調子でいろんな映画を引用しながら楽しませてくれるのかな、と期待に胸がふくらみます。兵器開発係の修道士が、デビッド・シューリスに似てると思ったら、なんとファラミア様でした。高潔な騎士役も、卑屈なお調子者役も両方いける俳優、デヴィッド・ウェナム。ソマーズは、「卑屈なお調子者」っていうキャラクターが相当好きみたいです。あと主な登場人物以外のエキストラはみんな『ロード・オブ・ザ・リング』のマッシヴ・システムで作ったオーク軍団ほどの判断力もなくて、死のうがどうしようが知ったこっちゃないという姿勢を小気味いいほど貫いてるのも、この人の特徴といえるでしょうか。ドラキュラの変身シーンは、古典的な影を使う手法と、最新CGでモーフィングする方法の両方使って、どちらもいけてました。いつもはノーブルなドラキュラが、ただの毛むくじゃらモンスターに変身するパターンの映画(『フライトナイト』とか)って、ドラキュラのキャラクターにそむく気がして反対派だったんですが、この映画の変身シーンは見てて面白いです。

 ドラキュラに狙われるお姫様役に、ドロンジョみたいなケイト・ベッキンセール、ドラキュラ役は見慣れないリチャード・ロックスバーグという人ですが、「エンターテインメント・ウィークリー」誌に『ソプラノズ』のフリオみたい、と書かれてるのを先に読んじゃったので、どうしてもフリオに見えてしかたありませんでした(^_^;))

 ただ、長い、長すぎるんだよお〜(2時間12分)。どのシーンも面白いけど、特盛り牛どんを1日3食、30日間出されたら3日で飽きちゃうよ。映画をいっぱい観て、受けるストーリーテリングをいろいろ研究してるくせに、なんでそれが分かんないのよ、ソマーズ。2つで十分ですよ。分かってくださいよぉ。

"Van Helsing"公式ページ 

☆"Super Size Me"

 マクドナルドのハンバーガーセットを1日3食、30日間食べ続けた男のドキュメンタリー。

 なんでそんなことをしたのかというと、去年、2人の女の子が「太ったのはあんたんとこのハンバーガーのせい」と、マクドナルドを訴えた申し立てが、判事に棄却されたのきっかけだそうです。「本当にマックが原因なのか、因果関係を証明してない」のが棄却理由だと知り、そんならひとつやってみようじゃないか、と、自らを実験台に、とっても軽い気持ちで始めたモーガン・スパーロック。子どもの時は母親が毎日食事を作ったのでほとんど外食はせず、長じては有機野菜料理シェフのガールフレンドと暮らし、酒もタバコもやらない極めて健康的なスパーロックが、1日3食、口にするのは飲み物を含めてすべてマックで売ってるものだけ、そして店員に「スーパーサイズセットはいかがですか?」と勧められたら断らない、という厳格な(?)条件で、NYを中心に、全米各地のマクドナルドを回る。ちゃんと3人の医者にかかって定期的に健康チェックも行うという、万全の体制で臨んだ。

 初日は嬉々としてバーガーにかじりついてたのに、早や2日目には、スーパーサイズセットを食べきれずに吐いてしまい、みるみる体調がくずれていく。体重ももちろん増えていくが、予想外だったのは、精神面への顕著な影響で、ウツや無気力に悩まされる。性欲もなくなってしまった(シェフの彼女はおかんむり)。最初の抵抗期を過ぎると、食べるのがまったく苦にならなくなって、食べてるときはハッピー、それ以外はウツウツ、という中毒状態になる。頭痛、発汗、倦怠感、疲労感、肝臓障害、体脂肪の上昇に加え、末期には夜中に呼吸困難に見舞われ、ドクターストップがかかる始末。

「この方法は極端過ぎると思うかもしれないけど、週に何度もマックに通う人は結構いるし、中には毎日通う人もいるんだ」と、彼はいう。わたしも始めは、面白いけど無意味な実験だと思って見てたのですが、彼が急速に体調を崩し、顔や腹部がたるんできて、ハタから見ても終日気分が悪そうで、果てはアパートの階段を上るのも死に物狂い、という状態を目の当たりにすれば、高カロリーで栄養バランスが悪い上に量も多目のファストフードが、多かれ少なかれ健康を害するものだというが、否応なしに伝わってくるし、中毒性があるのも怖いです。

 とりわけ戦慄すべきなのは、中学校給食の実態で、ソフトドリンクやフライドポテト、チケンナゲット、クッキー、ピザなど、メニューは全てカロリーが高いファストフードばかり。味は二の次にしても、栄養バランスの配慮された日本の学校給食で育った身としては、考えられない惨状でした。これじゃあ肥満児がゴロゴロしてても無理ありません。スパーロックはファストフード業界の金に任せた広告攻勢、政治家へのロビー活動を通した絶大な影響力を問題視し、特に店に遊び場を併置したり、ピエロのキャラクターで誕生日パーティを開いたり、ハッピーミールを始めたりと、子供をターゲットにマーケティングを展開するマクドナルドの罪深さを指摘します。

 本作がサンダンス映画祭で話題を呼んだ後、マクドナルドはスーパーサイズメニューを取りやめましたが、マクド側は「映画とは一切関係ない」と言っています。スパーロックによると、マクド側から映画公開の妨害を受けたそうです。まるでマイケル・ムーアの映画みたいですが、映画スタイルも「コロンバイン」スタイルを踏襲してて、アニメを上手に使ってます。違うのは、スパーロックの気のいい人柄のおかげで作品から嫌みを感じないところ。

「ヴァン・ヘルシング」でも、前の席にすごく太った女性が座ってて、身じろぎするたびに、ギシギシ椅子がきしんでいました。そういう方がたくさんいらっしゃるので、いくつかの客席、そうとうガタが来てます。こっちに来ると、どうしても太っちゃうから、学校の日本人留学生達も、帰国前には一生懸命ダイエットしてます。

"Super Size Me"公式ページ

☆『シュレック2』 "Shrek 2"

 みんなが待ってた『シュレック』の続編。わたしも1作目は大好きですが、きれいに終わってたから、正直続編を観たいとは思いませんでした。でも作っちゃったもんはしょうがない、観るしかないでしょう!

 新婚アツアツ、沼で幸せに暮らしていたシュレックとフィオナ姫のもとへ、"Far far away"国(はるかかなたの国)の国王夫妻、つまりフィオナ姫の両親からの使者が、高らかなファンファ−レとともに訪れる。招待に応じ、フィオナの故郷を訪ねた2人とドンキーを待っていたのは、ハリウッドそっくりのド派手なティンセル・タウン(虚飾の町)。2人を出迎えた国民と国王夫妻(ジョン・クリースとジュリー・アンドリュース)は、フィオナの連れてきた夫の姿にビックリする。フィオナは世界一のハンサム王子(自称)、チャーミング王子と結ばれるはずだったのに……。話が違うと怒ったのは、チャーミングの母親で、フィオナの後見人でもある妖精ゴッドマザー。町の実力者の彼女に脅された国王は、シュレックに凄腕の殺し屋を差し向ける。それは、泣く子も黙る猫版怪傑ゾロ、Puss In Boots(長靴を履いた猫)だった!

 もう、長猫がかわいくてかわいくて、おかしくておかしくて。場内も爆笑の渦でした〜。さすが、1作目でドンキーのピコピコ動くウサギ耳で私を悩殺したスタッフ、動物キャラ好きのツボがよく分かってます。長猫の必殺ワザ「ウルウル目」は、厭世家のシュレックの心をも溶かし、「しゃべる動物のお伴」の座を奪われたドンキーの焼きもちを焼く姿にまた胸キュン(^_^;)。エンドクレジットに、長猫の声としてアントニオ・バンデラスの名前が表示された時、もう一度笑い声が起きてました。あと、チャーミング王子の声がルパート・エベレットなのは、「おとぎ世界のベルベット・ボイスの持ち主」だからだそうです。

 クレジットに、「美術」とか「編集」とか、スタッフの職種に合わせた中世風のアイコンがあしらわれてるのが楽しい。さらにおまけカットも挿入されてるので、エンドクレジットが流れても、すぐに席を立たないことをオススメします。こっちの人たちって、日本人以上にサッサと席をたっちゃうから、見逃した人がほとんどでした。グズグズしてると、清掃係が作業を始めちゃうので、邪魔してるみたいで落ち着いて座ってらんないんですよね。

 前作は、ホントは真心のあったかいシュレックと、おしゃべりだけど無邪気で憎めないドンキーの友情とか、美男美女が結ばれるウソくさいハッピーエンドなんてクソくらえ、という反骨精神など、ただのコメディアニメに終わらない内容でしたが、今回はただただ観客をノせて、楽しませることだけを目的にしているので、さながら何のテーマも教訓もないのがウリのシットコム、「となりのサインフェルド」『シュレック』版といった趣でした。その点を評価しない向きもありますが、抵抗するにはあんまりにも愉快なので、批判派は少数です。ああ、思い出してもニヤニヤしちゃう。

『シュレック2』英語公式ページ

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